アンソロジーと名乗るだけある、4枚組・230分・48曲。屈指のライブバンドであることを改めて証明する、聴きごたえ充分のもの凄いボリューム!(過激なジャケットは、米大統領選でオバマの“HOPE”ポスターを手掛けたS・Faireyだそう)。実は彼らは、ライブ映像はたくさんあるんだが、ライブアルバムは86年の「Pack Up the Plantation」だけ。で、その時のライブは彼らにしては珍しく、ホーンセクションや女性コーラスなんかも従えたスタイルだったんだが、本来は(最小限のサポート以外は)、ライブはバンドメンバーだけなんで、このアンソロジーのスタイルこそ本家本元って感じかな。
1980年〜2006年までの26年間、録りためたるマテリアルは何と3509曲分!「American Girl」に至っては169テイクもあったそうだが、単なるグレイテスト・ヒット集にしたり、年代順に並べたりなんて無粋なことはせず、選び抜かれた曲達を、各CD毎に1枚の起承転結まで考えて曲順を決めたとのこと。その結果当たり前のように、前の曲と次の曲との間に20年の歳月が流れているのだが、そんなこと、クレジットを見ない限りまったくわからないほどに、彼らはいつも「自然体」。そこが素晴らしいんだよね。
ひたすらノリ一辺倒で、聴き手をねじ伏せようとするロックバンドが多い中、彼らは最初から「しなやか」だったんだよね。その後歳月を重ねるにつれ、「懐の深さ」を醸し出し、煽ったり、焦らしたりといった緩急の使い分けが絶妙になってくるんだよねぇ。
まぁ、長〜いキャリアなんで、あれもないこれもない、を言い出したらキリがないが、逆にこの曲、こんなカッコイイんだ、なんて新たな発見も多く飽きさせないですね(「My Life/Your World」に感激!)。彼らのルーツが垣間見えるカバー曲も、P・グリーン、JJ・ケイル、W・ディクソン、JB、ブッカー・T、V・モリソンに「Goldfinger(!)」と盛りだくさんだし、ライブでしか演らない未発表曲も含まれ、ほんとお腹一杯。
そして何より、4枚組でこの価格!これじゃ、日本盤は出せんわなぁ…(笑)
彼らのアルバムとしては最も”ポップ”な部類に入るアルバムだと思います。どの曲もシンプルなメロディ、アレンジで構成されていて、初めて彼らの音楽に触れる、という方にも適しているといえます。 冒頭を飾るアルバム・タイトル曲「The Last DJ」が、このアルバムのカラーを象徴していると言えます。ポップなだけでなく、最も”瑞々しさ”を湛えたアルバムだとも思います。といってもこのタイトル曲は、今のラジオ放送(およびDJ)の姿を痛烈に皮肉っている曲なのですが。”ラジオ大国”であるアメリカでこんな曲を発表してしまうのはむしろ、彼らの自信の表れとも受け取れますね。アメリカでは、「ラジオでのオン・エア量が、その曲(およびアルバム)のセールスを決定づける」とまで言われています。そんな状況下でこのような楽曲を発表してしまうことは、彼らにとって「致命傷」にもなりかねませんが、老いてもなお(失礼!)「言いたいことを言う」彼らの姿勢には、僕個人としては感銘を覚えます。 サウンドや楽曲に瑞々しさ、フレッシュさが増した分、前作までに見られていたアーシーな感覚が減退しているのは残念ですが、それは、ここ数年タッグを組んでいたリック・ルービンと袂を分かったことによるものが大きいのでしょう。それを「聴きやすくなった」と捉えるか、「味わいが無くなった」と捉えるかで大きく評価の分かれる作品だと思います。
「Learning To Fly」・・・91年の曲ですが年間チャートには残念ながら出て来ません。 アルバム「Into the Great Wide Open」に収められていますが、こちらの方がお値打ちでいいかも知れませんね。 歌詞は平易な英語を使われていますけど、和訳がちょっと難しい? 淡々とした語り口で進んで参りますが耳に残る命ある楽曲です。
興味がありましたなら私のリストマニア「Desert Moon」ご参照下さい。 「Traveling Wilburys」や「John Mellencamp」等と共に20年以上聞けますよ。
以前米国内だけで、しかも電話注文だけでしか販売されなかった貴重な映像だけに、待ちかねていたファンも多いはず。オススメです。
こちらはJohnny ThundersではなくTom PettyのHeartbreakersです。 Tom Pettyのボーカルはクセがあり好き嫌いの別れるところではありますが、シンプルなロックンロールが多くて聴きやすいアルバム。 「American Girl」、「Breakdown」といった代表曲が入っております。 収録時間が30分強で短いので一点減点。
|