前作「深夜1」は署訓を決めるというテーマでしたが、今回は踊る2のテーマ“増殖”にちなんで深夜のテーマも二つに増えました。「湾岸署のキャラクター(湾岸くん)のデザイン」と「神田署長の自叙伝」です。 深夜1は10分番組でしたが深夜2は15分番組になり、これも増殖です。 DVDでは途中に亀山P出演(深夜1と違い君塚氏はいません)のミニドラマが挿入されており、こちらのテーマは自叙伝映像化交渉です。 他に、本当の「湾岸くんが出来るまで」のドキュメンタリータッチの特典映像などがあります。 踊る大捜査線好きには楽しめる一本だと思いますが、DVDとしてみるともう二つ三つ特典映像が欲しかったところです。
才気煥発な二人がテンポよく繰り広げるスリリングな対談がいい。
口を拭ってとりすましたような議論より、 多少荒っぽくまたエゲツなくとも、 本音がうかがえてそこに一片の「真実」も見えるような、 そんな議論、もっと世に出てきていいと思う。
2人だけの対談で全編通している分、 たとえば片方が「それって○○だね」と受けている、 その「○○」の指すところが、字義的な意味においてでなく、 「話者がなぜその表現を用いたのか」という意味において、 わかりにくかったりするところもあった。 (2人の間では了解できているのだろうけど) そういう部分は、聞き手の編集者がしっかり突っ込んでフォローして 掘り下げて欲しかったと思う。
ただ、この2人、議論のフィールドが若干パターン化してきているきらいも感じるので、 今度はこの2人に読者からのさまざまな質問に答えてもらうような企画をやって欲しいなあ。 あらゆることについて、この2人の見解を訊いてみたいので。
ヨハンガルトゥングが編著であり、平和学の入門書ということで購入したものの、内容が難しかった。ある程度、入門書を読んでから購入した方が良いと思う。また、翻訳しているからか日本語の言い回しが難解で、部分的に何度か読み直さないと分からなかった。
しかし、現代平和学の第一人者であるヨハンガルトゥングが書いている章は充分に読む価値がある。
精神科医療のさまざまな修羅場(?)をかいくぐってきたベテラン精神科医から おもにドクターの卵である研修医にあてた心得帳。 Q&Aの形をとったやりとりのなかに春日センセイのエスプリと正直さと若干の意地悪さが バランスよく配されていて読んでいておもわずニンマリしてしまう。
速効つかえる『カスガ式切り返しフレーズ集』なるものもあって これはなにもお医者さんでなくとも面倒な人間関係を切り抜けるやり方として 日常的にアレンジが効く。 ともすれば禅問答のようなアドバイスを支えているものは医師としての矜持と 病気を時間の軸でとらえ待つ... 並はずれた中腰力の強さである。
これは内田樹との対談の中で言い表されているが どん!と腰を据えてしまってもいけない。 先走りして結果を焦ってもをいけない。 まさにスクワットしながら患者につきあう感のある春日医師の姿勢は 治らない時代においての医療者のスタンスとして興味深い。 飲み友達だという吉野朔美のイラストがまさに場面場面で的を得ていて これだけ見ていても飽きない。 また 筆者の人柄を探る手がかりともなっていて面白い!
この春日武彦という人、別の本で内田樹と対談しているのだが、そのとき読んでいて「この人医者の癖にひねくれ者だな〜」と思った。宮崎駿が嫌い(これは賛否両論あるだろうが)なのはさておき、臨床の現場でそんな投げやりなことを患者に言っていいのかと、笑っちゃいそうになるほど変わっている。この本は学術的にどうこうというよりも、ひねくれ者が幸福という言葉と出会ったらどのような化学変化が起きるのかということを楽しむ本だと思う。
人間は幸せという状態を何か手にすることが出来るものに物象化したいという欲望にとらわれる生き物である。私は安易に幸せに「なりたい」や幸せが「欲しい」という趣旨の発言をする人を、人間として下に見ていて、幸いなことにそのような人間は周りにいない。そんなことを言う奴ほど幸せについて、真剣に考えたことがないのではないか。
この点について、筆者も同意してくれている。 彼は冒頭で幸福になる方法なんて教えようがない、とまずはっきり断言する。加えて、つつましく生きること、身の丈にあった生活をしていれば幸せになることができる、といった坊さんの説法みたいな論にも違和感を表明し、「論外」といってばっさり切り捨てる。幸福なんて人それぞれであり、教えようがない。その出発点に立った筆者が取る方法、それは「幸福の断片」の記述である。 第1章「幸福の1ダース」で筆者は、彼自身が体験した幸せを感じた瞬間12個を一挙に公開する。こんな風に書くと、いかにも陳腐なエッセイになっていやしないかと思われるかもしれないが、彼自身がそのエピソードをなぜ幸福に思ったか深く内省しているため、けっして飽きさせない。
この「幸福の断片」で筆者が伝えたがっているのは、「幸福のニュアンス」だと思う。幸福のあり方は違っても、それからたちこめる「風味」のようなものは案外みな共感できるんじゃないか?そのことを春日はこのとりとめもないエピソードを通して伝えようとしている。
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