Carlotta's Serape / The Son of Man / Light Ship / Nightmare オレンジ・アンド・タールモバイル

Carlotta's Serape / The Son of Man / Light Ship / Nightmare

オレンジ・アンド・タール (光文社文庫)

2000年の春に発行されたこの本を当時高校生だった私は何度も読み返していました。
読んだのが主人公と同世代だったのもあり、感情がリンクしすぎて読んでる途中で意味不明の涙におそわれたりしました。

永遠に続くメビウスの輪からドロップした親友の気持ちもすごく理解できました。
でもそれをしたら最後。
だからカズキはへらへら笑ってそれを見て見ぬフリをしている。
それが若さ特有のブレだと解っていても現状を上手く生きれない葛藤となどが、文章力や言葉の力とかじゃない次元で、
気持ち悪いくらいリアルに書かれていました。

私はこの作品を一生忘れることはないと思います。
私がこの本を読み終えて数日後に、
佐賀のバスハイジャック事件が起きたからです。
犯人は当時17歳の少年。
バスを乗っ取り2人に負傷をおわせ、1人を殺害してしました。

私は「そうか、この本はいつでもノンフィクションになりえるんだ」と思いました。
行動は違えど、この小説が描き出したリアルな狂気が、現実にも起こっていることに恐怖を覚えました。
そしてそれに同調していた自分にも恐怖を感じた事を覚えています。

この小説を読むと、今でもその時の気持ちが蘇ってきます。
でもこの深く心臓をえぐられるような感覚を失っては駄目なんだと、理由は解らないけど感じます。

それに最後の若林さんの解説もとても素晴らしかったです。
是非一度読むことをおすすめします。

ポケットに名言を (角川文庫)

「なぜ、人間は血のつまったただの袋ではないのだろうか？」
　　　　　　　　　　　 by　フランツ　カフカ

著者は映画を見るとき、名言は出て来やしないかといった視点で見る
のだという。どんなつまんない映画でも。

この寺山修司による名言集には、”名言”が多い。
僕が感心したのはすんなり入ってくるじゃなくて、どういうことだ？
と考えさせるものも多く入っていることである。

ことばのおもしろさを感じたりする。

谷川俊太郎が言っていたけれど、ことばを常に疑うという姿勢を谷川さんは持ち続けている
という。

冒頭のカフカの言葉は、名言集にとっちゃ、少し危機的な言葉だと思う。
ことばは、意味とすごくつながっているから。

でも、カフカの言葉は冷たいだけといった感じだけでは終わらない。
ことばを壊すそういったことばに、彼のさみしさがまとわりついている。

わたしたちはこの地球上に生まれたまさにそのときから、ことばの相対性にのみこまれる。

わたしたちを、まったくもって迷わせるものもことばであるが、道をつくるものもことばなのかもしれない。

オレンジ・アンド・タール

目の前で友人キョウが投身自殺を遂げてしまったことから、自分を見失ってしまった高校生カズキ、コミヤマ、モリヤ。キョウの「なんか意味ねぇって感じ、ない？」というセリフに象徴されているのだけれど、何かをすることの意味を見出せなければ、自分の存在そのものが否定されてしまうという感覚が、カズキらと同世代のコの共感をよぶのだろうか。

カズキが頼りにする２３歳のホームレス　トモロウは、カズキらの「頭の中の宇宙の狭さ」を指摘する。「キワキワだっちゅうの」と。トモロウが語る”自分って何”は、曖昧な言葉の羅列でメチャクチャなんだけれど、不思議な説得力をもっている。なんとなくわかったような気になるのは、読者に解釈の幅を与えているからなんだろう。その人その人、そして、その時々の心情によって、いろいろな受け止め方ができるのかもしれない。

「オレンジ・アンド・タール」は、カズキらのふっきっれた感で幕を閉じる。これが、なんだか気持ちが悪い。トモロウという、伝説のスケートボーダーが、カズキらのメンターになって問題解決という美しさ。”リアル”じゃない。

ところが、本書に収録されているもう一編「シルバー・ビーンズ」が「オレンジ・アンド・タール」はそんな不満を吹き飛ばす。トモロウの視点で描かれた本作品は、トモロウ自身の「頭の中の宇宙の狭さ」なのだ。「シルバー・ビーンズ」と「オレンジ・アンド・タール」関係は、箱庭の中にある箱庭のようにみえる。トモロウが、意味から抛り出される感覚を求め、自分について考えることを拒否しているだけに、カズキらの無垢さが苛立しいということか。結局、「オレンジ・アンド・タール」でトモロウがカズキに語った”自分って何”は、トモロウ自身が答えを持っていなかったのだ。

私は、本書がきれい事で終わっていないところを評価したい。

Carlotta's Serape / The Son of Man / Light Ship / Nightmare

The Son of Man (French: Le fils de l'homme) is a 1964 painting by the Belgian surrealist painter René Magritte. Magritte painted it as a self-portrait. The painting consists of a man in an overcoat and a bowler hat standing in front of a short wall, beyond which is the sea and a cloudy sky. The man's face is largely obscured by a hovering green apple. However, the man's eyes can be seen peeking over the edge of the apple. Another subtle feature is that the man's left arm appears to bend backwards at the elbow. About the painting, Magritte said: At least it hides the face partly. Well, so you have the apparent face, the apple, hiding the visible but hidden, the face of the person. It's something that happens constantly. Everything we see hides another thing, we always want to see what is hidden by what we see. There is an interest in that which is hidden and which the visible does not show us. This interest can take the form of a quite intense feeling, a sort of conflict, one might say, between the visible that is hidden and the visible that is present.[1] The Son of Man resembles The Great War on Façades (La Grande Guerre Façades), another Magritte painting featuring similar imagery. Both feature a person standing in front of a wall overlooking the sea. The Great War on Façades, however, features a woman holding an umbrella, her face covered by a flower. There is also Man in the Bowler Hat, a similar painting where the man's face is obscured by a bird rather than an apple ...