いつもの養老流都市化文明論。だんだん文系的発言が増えてきているようだ。特に都市での宗教イデオロギーの成立論、世界的な一神教の発展史など。
興味深いのは自身の幼時体験(父親の死)を語った部分で、それこそ氏が「意識せず」披露した感があり見逃せない。
確かに日本は自然に上手く手を入れながら共存してきたと言えるかもしれない。欧米とは違う、多湿で肥沃な土地柄が日本人の生き方・思想に影響を与えてきたと言う点は否めない。
自己のアイデンティティとしてのイデオロギーを持たない都市生活者「日本人」が拠り所とする「会社組織」(世間の一形態)。規格外を差別する「世間」。現代人の最大の特長である「シンボル操作能力」。情報不変論(人格変化論=死刑囚は早く刑を執行しないと人格が変わる論)。「身体と型」論。などなど、興味は尽きない(H15.2.2)。
本書はサムスン電子の勤務経験をベースに主に韓国のビジネス文化について記したものである。 読んでみて「もっと早く読んでおくべきだった!」と感じた。 著者は現地で部下に指示を出す立場にいるが、その部下との応対の部分に関する記述は私が経験した内容にそっくりで強い共感を覚えた。 私は著者とは異なりビジネスパートナーであるため命令ではなく提案といった形で業務をすすめているが、合意が実行されないことや指示が守られないことについての本書の記述は本質的に同じ部分から来ているという意味で頷くものが多かった。 文化の違いによる現地での応接の日本的習慣からの変化を求められるのであるが、私自身は未だに発展途上でありこの本はそういったところへの示唆が多く含まれていて非常に参考になるものであった。 ビジネス文化だけでなく日常の文化にも言及されており、前知識の無い、これから韓国とビジネスを行う人には有益な参考書になると思う。 著者の現地での環境は一流企業の文化であるがこれが中小企業だと更に差異が際だっているのだがそういったところまで記述を求めるのは無い物ねだりではあるが、もう少し掘り下げが欲しかった。こういった多少の不満はあっても、韓国でビジネスを行う人が記したこういった書籍は非常に少ないため価値が高いと感じたので星5の評価としたい。
料理に、サッカー・ワールド・カップ共同開催、「冬のソナタ」、そしてヨン様。韓国ブームの中で、戦争の悲劇的な関係を越えて、素顔のままで韓国の人々と対等につきあう時がそろそろ来たのかなと感じます。本書は、そうした「つきあい」を始める上で不可欠な、挨拶、御礼、贈り物、人の敬称、会話の進め方、人間関係などの基本的なコミュニケーションの「見えざる」ルールを、文化的背景、日韓比較を通して、時には英米とのを交えつつ分かり易く教えてくれ、興味深く読ませてもらいました。韓国ドラマもより楽しくなりそうです。 同時に、この本を読んでいるときには、自分の「日本人らしさ」(私は日本人)や「らしくなささ」を再発見しました。そんな自己再発見の過程もとても興味深かったです。 私たち日本人の多くは、アメリカにばかり目がいく傾向があると思うのですが、日本人としては、もっと身近な、でもほとんど理解できていない隣人たちについて理解して、豊かなアジア関係を育むことも大切なことだと思います。韓国の方とお仕事をされたり、日常的に接していらっしゃる方には、「当たり前」と思っていることをチェックするために是非読んでは如何でしょう。そうした方々は、皆大切な民間大使で、未来の日韓関係の担い手ですものね。 この本は、いろいろな意味で、なんだか「21世紀の裾野の広い日韓関係のための1冊」だと思いました。
本書の具体的な内容は他の人が書いているので、そちらを見ていただくことにしよう。
44項目にわたるテーマが、それぞれに興味深い日韓のずれを示している。
けっこう韓国に関する本を読んで来たつもりの私であったが、本書で初めて知ったことも多い(「席がある」という表現が「空いていない」ことを表すなど)。
ただ事例が羅列してあるというだけでなく、それらの事例を通して、日韓の差異の奥深いところがじんわりと見えてくるという仕掛けが(意図されたものではないかもしれないが)実に興味深い。
「実はもっと深いところで日本人と韓国人の精神構造はつながっているのかもしれない」と述べる著者の言葉には、本書を読み終えると深く納得させられるものがある。
この種の本にありがちな妙な思い入れや押し付けがましさがなく、気持ちよく読める本だ。
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