マンガとしての説得力は本書の方があります。ひきつけて離さない絵の力と言うものを感じます。職場での休憩時間にサラッと読めるものをと思って買ったのですが、読み始めたら最後、一気に太平記の世界に引きずり込まれてしまいました。マンガ版で太平記を読みたいと思う方ならば、他社から出ているものよりも、さいとう版太平記を読むことをおすすめします。読み比べれば分かると思いますが、圧倒的な迫力の違いを感じます。
「逆説シリーズ」第七作。"建武の新政"の失敗から"恐怖の魔王"足利義教の死までを描いている。義満・義教の評価を初めとして、「室町時代の政争ってこんなに面白いんだ」と実感させてくれる出色の出来。
"建武の新政"の失敗が、他人の事を考えない後醍醐天皇のワガママによるという指摘はごもっとも。日本においては、天皇自らが策動すると国が乱れるという典型である。間に「太平記」を題に採って、朱子学と老荘思想が語られる。朱子学が自縄自縛の学問であり、危険性を孕んでいるという事が良く分かる。次いで南北朝の争いが語られる。この発端は勿論、後醍醐の責任だが、やはり政争が長引いたのは尊氏の優柔不断のせいだと思う。井沢氏も言う通り、尊氏は「良い人」だったかもしれないが、頼朝・家康のようなビジョンに欠けていた。しかし、この当時は下克上という概念はなかったようだ。本書を読むと、高師直が足利政権を乗っ取っても不思議ではないように思われるが、この時代では許されなかったのであろう。そして、義満論。「天皇になろうとした将軍」の著者としては自家薬籠中の話題。義満の野望にここまで迫った論者は他にいないだろう。最後に、歴史の教科書には登場しない"恐怖の魔王"義教論。本書を読むと、歴史が何故義教を取り上げないのか不思議である。特に義教が信長の先駆者と言う指摘は鋭い。
義満を積極的に取り上げ、しかも義教という普段余り取り上げられない"隠れた傑物"を肯定的に取り上げる等、著者の本領を発揮したシリーズ中の傑作。
農本主義から重商主義への転換期という経済小説の要素が入った忠臣蔵です。そのため、仇討ち派の描写と並行して、仇討ちに参加せず、塩田開発に賭ける、石野七郎次(松平健)一派の描写もあります。
主役の大石内蔵助(緒方拳)は、狂言回しと言ってもよく、浪士の中では、不破数右衛門(小林薫)と片岡源五右衛門(郷ひろみ)の動きが大きな役割を果たし(また二人ともカッコイイ特に小林薫)、堀部安兵衛が完全に霞んでいます。
石野達は、塩田開発を続けるため武士である事を捨てざるを得なくなりますが、仇討ち成功後、不忠者として赤穂を追われます。大石と別れの際、大石から「多分、誰も間違っていない。」と立場や考えの違いを理解するセリフがあっただけにやりきれません。
バカ殿丸出しの徳川綱吉(竹脇無我)、天然ボケな町子(吉田日出子)、そんな二人の間で仕事をこなす柳沢吉保(岡本富士太)の描写や、ちょっとベタでくどかったけど、石野と竹島素良(多岐川裕美)、片岡と十文字屋おゆう(古手川祐子)、不破と竹屋美波(樋口可南子)ラブロマンスも彩りをそえてくれました。
難を言わせて貰うと、オープニング音楽は素晴らしいのに、画面は露光過多でクレジットが読み難い事です。
「すごく面白いよ!!。一緒に見ない?。」
女房に進められて見始めたのが、「冬のソナタ」。
ほんの少し付き合うつもりで見始めたのが間違いでした。
面白い!!。
じれったい!!。
何でこんなに苦しめられなければならないのか??。
そして、挿入歌も良い!!。
この場面は、あの曲が入るよね。
と思った時に、その曲が流されるのです。
そして、「CD」が売り出されていると聞き、その日に、
買いに行きました。
また、「冬のソナタその後」(?)と題名の「本」も出版され
それも買ってしまいました。
「便乗商売」と分かっていても、買わずにはいられない。
そして、買ったもの全てが「嬉しい」。
それが、「冬のソナタ」でした。
「太王四神記」は、その「感動」が蘇る作品です!!!。
「スジニ」のテーマに「良いね」と言い合い。
「キハ」のテーマに「悲しいね」と目を交わし。
「ホゲ」には、最後「タムドクのみかたになってほしい」
このCDを聞きながらこんな会話が自然と交わされる作品です。
これほど面白い作品がかつてあったろうか。全編どこをとっても読み応えがある。内容は語るまでも無く真田と草のもの、徳川との壮絶な戦いは感動をおぼえる。本作品は20年前と昨年の2回読破しました。NHKドラマもあるようですが見ていません。小説の迫力を超えられるか興味もわきます。是非お勧めしたい作品です。歴史小説8作品目の感想。1988/05/14,2007/11/03
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