エリート【完全版】 上 (マンガショップシリーズ (17))
漫画を描くしか能のない中学生の竜太郎、冷酷非道な極悪犯罪者エルケーニッヒ・ダンガー、そして、ジョンという名の幼児が、最古の宇宙生命体アルゴールにより、人間の全潜在力を解放され超人になる。
アルゴールは、3人に、その力を好きに使ってよいことを保証するが、これが即ち、人類の運命を決めることとなる。
我々は竜太郎少年と共に、人類のエゴや残忍さといった愚かさ、醜さを見ることになる。この作品を読み終わった時、人類に希望を見出すか、それとも絶望するかは読者次第といったところだ。
尚、この頃の桑田次郎の絵は、後の完成されたシャープさを持つ独特の画風のほんの少し手前のものと思う。しかし、登場人物に味があり、特にエルケーニッヒ・ダンガーは悪の魅力炸裂の印象深いキャラと思う。また、竜太郎がエリートという超人にでもならない限り、ガールフレンドにできなかったろうと思われるジュディが可愛かった。そのジュディの豹変振りはやや残念に思ったのだが、いかがであろうか?
マンガで読む般若心経〈2 色即是空篇〉 (広済堂文庫―ヒューマン・セレクト)
空とは、存在の本質というものが無く全てがお互いに依存して成り立っているという事実を指す、というのが私の理解です。しかし桑田氏の言う空は「魂の世界」や「超存在」という言葉が使われていることからもわかるように、この世とは別の世界が「有る」という主張のように見受けられます。ご本人も、空の世界をこの世の価値観で描写することの危険性については自覚していますが、私には釈迦が語らなかったこと「無記」の態度を逸脱して抽象論に入り込んでしまったように思います。しかし、全てに実体がないという私の空の理解では、なぜ無や空を自覚した人間に慈悲の心が生まれるのかという謎、なぜニヒリズムに陥らないのかという謎は残ります。このように、著者の主張は受け入れられないものの、空について自分の理解と対比して考えることができたという点を評価して星3つです。仏教者であった弁護士遠藤誠氏のあとがきにも私と同じように、空の理解が違うと前置きした上で桑田氏の世界観に一定の評価を与えていました。
桑田次郎アダルト短編集 サングラスをはずさないで (マンガショップシリーズ (117))
子供のときに大人の漫画雑誌を立ち読みしていたら桑田次郎氏の作品が載っていて、8マンのサチ子さんと同じ顔の美女がエッチなことをしている描写を見て興奮したのを憶えている(そのときの作品はこの本には載っていなくて、もっとエグかった)。載っている15作品は1968年から78年(昭和43〜53年)のもので、ほとんどの作品が殺人を扱っていて結末も暗いのはやはり拳銃所持で逮捕された影響なのだろうか。ペンのタッチが時と共に変わっていくのを知るのも面白い。
マンガで読む般若心経〈1 運命・宿命篇〉 (広済堂文庫―ヒューマン・セレクト)
最初にこの本と出会ったのは図書館でした。
この本は手元に置いておきたいと思い、今回購入しました。
私は仏教で葬式をして、神道で初詣に行き、クリスマスを祝うという
日本では一般的な宗教観でしたが、よく般若心経という言葉は聞くが、
中身は全然知りませんでした。読んでいると、とても難しい部分もあり
一体これは何が書いてあるのかと思う部分も有りましたが、その後に必ず著者の
解説があり、わからなくても読んでいけばその奥深い仏教の教えが理解できるように
なっています。仏教書をよみあさっている友人にこの本を見せると、2週間後に、
「これはすごい本だ。よくあるお寺の住職が書いたものよりすごい。人生観が変わってしまった。」
とコメントをもらいました。