タイトルが示す通り、Jazzサックス奏者Kirk Whalumが、本格的なゴスペル作品に挑戦したというもの。とは言っても、いわゆるゴスペル・ソングのカバー集といった代物ではない。半数を占めるKirkのオリジナル作品が秀逸だ。ゴスペル的な熱さとジャズ的なクールさを程よくブレンドした、真のフュージョン作品。クワイアをバックに、ソロ・ヴォーカルの如く歌うKirkのSAXが素晴らしい。George Duke (Key), Paul Jackson, Jr. (G) 等が参加し、洗練度の高い落ち着いたアンサンブルが楽しめる。
ポール・ジャクソン・ジュニアのリーダー作としては4作目になる作品で、リリースは1995年11月、このCDは2008年12月の再発盤になります。再発に際してHi Quality CD仕様になっています。
このHi Quality CDとは『通常CDよりもグレードの高い、液晶パネルに用いられるポリカーボネートをディスク基盤材料に使用し、従来のアルミニウムに換えて特殊合金を反射膜に採用した、高音質の音楽用CD』という事で、マスターの再現性に優れているようです。
さて作品の内容についてですが、日本盤ライナーノーツの言葉を借りれば『"デュエット"で、サックス、キーボード、ヴォーカル、ベースなど、彼はそれらと対話することによって、想像力に富んだ、ハートのある本物の音楽をきかせてくれる…』。
デュエット相手のゲストミュージシャンもハーヴィー・メイソン、アール・クルー、トム・スコット、レイ・パーカー・jr.、ジョー・サンプル、ウィルトン・フェルダー、ジョージ・デューク、シーラ・E、他、豪華な面々です。
アメリカ西海岸の香り漂うジャズ/フュージョン、ポール・ジャクソン・ジュニアも爽快に、そしてメロウなソロをとっています。それにしても良い音を出すギタリストですね、私もすごく好きなプレイヤーです。
特に6曲目の『Knight Time』という曲はジョー・サンプルのキーボードにウィルトン・フェルダーのサックス・ソロ、さらにジョージ・ボハノンのトロンボーンも加わって、そこにポール・ジャクソン・ジュニアがクルセイダーズ時代のラリー・カールトンを彷彿させるプレイを披露していて、私の特にお気に入りの1曲です
爽やかでメロウで適度なスピード感があって、聴いているとすごく気持ちのいい作品ですよ。是非お勧めします。
リリース当時は、ハンコックがヴォコーダーを使って歌っているのが話題になりました。ゼンハイザー社のヴォコーダーが画期的でしたし、ハンコックの歌ものアルバムというのも画期的でした。当然、ジャズ評論家からは総スカンでした。というより、ほとんど無視されていました。最近では再評価されて名誉回復を果たしています。よかった。よかった。
本作ではヴォコーダーが前面に出ていますが、実はエレピ、フェンダー・ローズが影の主役です。ハンコックが自分名義のアルバムでここまでエレピを弾きまくっているのは珍しいです。特に4曲目の「ノー・ミーンズ・イエス」はヴォコーダーの歌も入っていませんので、ハンコックのエレピが堪能できます。
最後の「グッド・クエスチョン」はハンコックとジャコ・パストリアスとトニー・ウイリアムスによる、場違いなほど熱いプレイです。ハンコックはここではアコースティック・ピアノをプレイします。トニーはともかく、ジャコはエレクトリック・ベースですから、基本フォーマットとしては変則的なピアノトリオです。ここでも、パトリック・グリーソンのシンセを入れてしまうところがハンコックらしいですね。ジャコ・パストリアスが参加しているからではないのですが、この曲が『ワード・オブ・マウス』の最初の曲「クライシス」に影響を与えているような気がしてなりません。この頃からハンコックはアルバムの最後に実験的な曲を必ず入れるようになります。『ロック・イット』の頃にはなくなりましたけどね。個人的にはそんな時代のハンコックが好きです。
アルバムタイトルの"jazz"に魅かれて、購入しました。けれど実際、聞いてみるとジャズ曲は、かなり少なくて、1960〜70年代の音楽とか、余り知られていないポピュラー曲とかがなぜか多いです。それらの「けだるい」感じの音楽は、おしゃれだし、決して悪くはないのですが、内容とアルバムタイトルが一致していません。タイトルは、"ナイトミュージック"とか何でもいいので、別のものにしてほしかったです。ジャケットもジャズクラブを連想させて、少しまぎらわしいかも。
ただ、純粋なジャズアルバムではないことを理解して、購入するのであれば、(思ったより有名曲は少ない)ですが、この値段で、新旧いろいろな曲が入っていて、お買い得なのかもしれません。趣向を変えて、これからもっと、このようなシリーズは増えていって、洗練されていくと良いと思います。今後に要期待です。
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