面白いです。謎解きが少々饒舌。主要キャラクターが勢ぞろいすぎて視点が散漫になる気もします。でも、面白いです。
結婚生活に飽いて、時間を持て余す婦人の物語とも言うべき舞台歌劇です。
主人公の婦人を演じるマリア・ウェストブロークは、美貌でもあり、歌唱力、演技力共に備わったメゾソプラノです。ストーリーは、次々と展開し、新しく雇った男の夜這いを受け、その描写は、巧みに処理され、音楽が、雰囲気をかき立てます。これを始点にして、物語は、ひと山もふた山も乗り越えて、終末へ向かっていきます。
ショスタコーヴィッチが、オペラの世界にも、革新的音楽を創り出した傑作と思います。観るものを惹き付ける力を持つ大変な舞台歌劇だと思っています。
言わずと知れたソ連の巨匠ムラヴィンスキーのリハーサルとインタビューとテレビ放送用の映像が大量に収録された貴重なDVDです。 さまざまなインタビューもショスタコービッチとのかかわりや、ショスタコの交響曲第八番が自分にとってどれだけ重要なものか、毎回総譜に演奏した日を記録していることなど、興味深い。 だが一番の見所は、ショスタコーヴィッチ最後の録音とされる1984年のショスタコの12番の演奏の映像である。ここの第四楽章でなんと振り間違えるのである。その直後、表情を曇らせたムラヴィンスキーが譜面を確認するところまで収録されており、これがムラヴィンスキーが許可した最後の録音になった理由か?と思わせる。(ちなみにこの件は有名なショスタコーヴィッチのページを見ていら書いてありました。)
エフゲニー・ムラヴィンスキーは、この曲の世界初演指揮者であり、
この演奏がショスタコーヴィチ「交響曲第5番」の指標と言えます。
録音の状態がもっと良ければと惜しまれる名演奏です。
ソロモン・ヴォルコフ編著『ショスタコーヴィチの証言』によると
ショスタコーヴィチは第4楽章について「強制された歓喜だ」と語ったとされ、
ムラヴィンスキーの演奏はそれを証明するかの様なものとなっています。
ムラヴィンスキーが指揮した同曲の録音はこの他に、
1973年5月26日に東京文化会館で行われた
至高の名演奏ライブ録音があります(ALTUS盤)。
まだ1番、2番、5番、9番しか聞いていませんが、すばらしい演奏です。1番はラトル・ベルリンフィル、5番はバーンスタイン、5番9番はハイテインクと比較しています。ショスコの交響曲は曲の中に独奏が多いと思いますが、ひとつひとつ楽器、一つ一つの音に意味があるように感じます。1番は毎晩聞いていましたが、聞くたびに発見があり、物語を感じます。例えば2楽章の最後にピアノが打楽器のように3回打ち鳴らされるのが「怒り」「悲しみ」「あきらめ」のように聞こえ、物語を感じるのです。5番はベートーベンの「運命」と比較されますが、そうではなく、この演奏からは「徒労」「絶望」を強く感じます。モーツアルトは明るさの中から哀しみを歌いましたが、この演奏からはショスコは絶望の中から哀しみを歌っているということがよくわかります。
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