世界へ―デンソーの海外展開
1960年代初期に自動車部品メーカーが国際市場を意識した海外進出を社内・社外の外部環境を踏まえ、丹念にまとめ上げている。現場の臨場感と社員の意気込みが行間から滲み出ている。
たぶん最後の御挨拶
「訴えたいことは小説で」ということで,これが最期のエッセイ集になるとのこと。
乱歩賞受賞という華々しい文壇デビューを飾りながら,その後自作の映画化を期にベストセラー作家になるまでの苦労(文学賞十数連敗)と紆余曲折。なかなか認めてくれない批評家へのうらみつらみですら著者独特のユーモアを織り交ぜる事によって,さわやかともいえる読後感を残す。
著者の素顔,肉声がきける最後のエッセイ集として貴重なだけでなく,特に大阪人らしいユーモアに満ちた年譜と「使命と魂のリミット」まで全著作についての解説は,東野ファン必読。
感じるマネジメント
この本を読んで、「会社は人のつながりで出来ている」という
当たり前のことを改めて考えさせられた。
最近の世の中の言説は、どうも金銭の面からばかり企業を
語っているように感じる。
しかし、実際に企業を動かしているのはひとりひとりの人間であり、
金銭は、人間が考え、行動するための資源であり、その結果として
得られるものに過ぎない。
そう考えると、この本で語られている
「組織に属する人たちと、どのように心を通わせあい、
憧れを共有していけばいいのか」というテーマは、
忘れてはいけない、とても大事なことだ。
企業で経営や組織運営に関わる人々に、ぜひオススメしたい。
社歌
MR.BIGの「I LOVE YOU JAPAN」は、「株式会社マキタの社歌」という風説がネット上でも広まっており、本アルバムにも収録されている。
しかし、マキタの公式Webサイトでは、社歌について全く触れられていない。
「200社以上の取材から得られた」解説付きと謳っている本アルバムの解説文にも、社歌であるともないとも書かれていない。非常にあいまいな記述があるだけだ。
そこで、思い切って株式会社マキタ本社に直接、問い合わせを行った。
(お忙しい中、一個人の不躾な問い合わせに対し、丁寧かつ誠実にご回答いただいた、株式会社マキタに深く感謝します。ありがとうございました)
その結果、以下の事柄が判明した。
1)「I LOVE YOU JAPAN」は株式会社マキタの社歌ではない
あくまでもMR. BIG日本ツアーのスポンサーとして協賛したことへの返礼として曲をいただいたのであって、社歌として書いていただいたわけでもなければ、社歌に制定したわけでもない、とのこと。
2)そもそも株式会社マキタに、社歌というものは無い
「I LOVE YOU JAPAN」楽曲提供以前に、別の曲を社歌として定めていたことは、一度も無い、とのこと。
つまり、創業以来、一度も社歌が作られたことが無いとの事である。
3)キングレコードからアルバム収録の話があった際、いったんは断った
「I LOVE YOU JAPAN」は社歌ではない、『社歌』というアルバムコンセプトにはそぐわない、との理由で、いったんは話を断った、とのこと。
4)キングレコードから重ねて強い要望があったため、許諾した
キングレコード側から「既に楽曲の著作権処理が済んでいるので」「解説文には社歌という言葉を一切入れないので」収録させてほしいとの話があり、そこまでおっしゃるなら、無下にお断りする理由もありませんので、収録を許可しました、とのこと。
つまり、この『社歌』というアルバムは、そもそも社歌を一度も定めたことの無い企業の、社歌ではない楽曲の収録について、先方が一度は話を断ったにもかかわらず、強引に口説き落として制作されたのだ。
しかも、ネット上では社歌だという風説が一人歩きしている曲を、解説に社歌という言葉を用いず「この曲は社歌ではない」と明記することを避けて収録したことにより、ユーザー側が誤解して購入する行為を誘発させている。
こういうアルバム制作姿勢は、許されるのだろうか。
アルバムのタスキにあるような「日本企業の美しき文化」としての社歌を紹介するのであれば、たとえば山田耕筰が作曲し藤山一郎が歌っている旧大和銀行の行歌のような、ネットオークションでアナログ盤が高値を呼んだ楽曲も存在する。
また私が入手した、品川ファーネス(株)の社歌は、作詞:石本美由起、作・編曲:船村徹で、村田英雄が歌う堂々たる演歌調だ。
なぜ、こうした著名作曲家・大物歌手による社歌が収録されず、社歌ではないものが収録されているのか。理解に苦しむ。
個人的には、東宝やキングレコードの社歌を聴くことができたことは喜びだが、アルバムの制作姿勢としては、いかがなものか。
なお、キングレコードは公式サイトに釈明文を掲載したが、「社歌ではない」曲を『社歌』というコンセプトのコンピレーションに収録するのは、「牛肉」と表示しておいて、水牛の肉を混ぜて売るようなものだとと思う。