実は、去年からこの本は気になっていました。でも、科学オタクじゃないし、他にも読みたい本はたくさんあるから、また次の機会に、なんて思っていて。そのうちに、この著者の方を、雑誌や新聞でお見かけすることが増えました。で、メディアに乗せられて(笑)購入しました。 すごい脳みそ持ってますねぇ。まさに次世代の科学者、次世代の宇宙飛行士。こういう思考の人が 人類の未来を支えるテクノロジーを開発してくれるなら、ちょっとは安心できそうな気がします。 しかも、読みやすいけど読み応えがあるという、本好きにはビンゴなポジショニング。 私としては、おすすめ5つ星、是非とも全国の学校図書館に入れていただき、一人でも多くの子供たちに読んで欲しいと思いました。
架空の島タプロバニーを舞台にして、宇宙まで届くエレベータを建造する話です。あとがきにも詳しく書いてありますが、タプロバニーは作者のクラークが在住のスリランカがモデルです。そして、宇宙エレベータを建造するのにふさわしくなるように赤道をまたぐ位置に移され、山の標高は二倍にされています。なるべく高い標高の方が、台風などの影響を受けにくいからです。 メインの宇宙エレベータ以外の部分でも、衛星からのレーザーで気象のコントロールするという設定がいくつか重要な役を果たしています。スターグライダーのエピソードなどは、それだけを使って別の作品にすることも出来そうなくらいです。 スピナレットと呼ばれる装置は宇宙エレベータに関係があるのであたりまえとしても、アリストートルそしてコーラといった未来を感じさせる物がふんだんに登場して、当然のように使われているのもフィクションではあっても確かな科学を感じさせます。
宇宙(もしくは軌道)エレベータについての概要が書かれている。 具体的には、どのような軌道にどのような技術で作り、 それはどのように運営され、どのような恩恵をもたらすか、 と言うような内容。
個人的な感想では、特に恩恵の部分に注力されており、 技術的な内容は多少言いっぱなしな印象を受けた。 ので、読み物としてはロマンに溢れていて面白いけど、 技術者目線だと物足りないのかも。
宇宙へのアクセスとして、今最もホットな話題となっている「宇宙エレベーター」がすでに完成し、運用を続けている時代の『宇宙エレベーターのツアーガイド』という設定がお見事。これが高校生向けの物理学の副読本なのだから今の高校生は運がいい。 2012年の毎日新聞正月特集で『人を幸せにする技術:宇宙へ 夢運ぶエレベーター』という記事が掲載されたこともあり、 http://mainichi.jp/photo/news/20111230mog00m040009000c.html netでも話題沸騰である。そこでは「いつかできたらいいねー」とか「そんなもん実現するわけがない」といったコメント(特に後者)が多い。「知ったかぶりの書き込みをするぐらいなら、この本を買ってちゃんと読め!」と言いたい。ほぼすべての疑問が解決するはずだ。 そう「宇宙エレベーター実現の可能性はどれくらいか?」ではなくて「どうすれば早く実現することができるのか!」が著者が会員となっている「宇宙エレベーター協会(JSEA)」のテーマなのである。 http://www.facebook.com/photo.php?fbid=255107421219565&set=a.177208575676117.49414.173625212701120&type=1 宇宙エレベーターなんか出来っこない、という人は昔(1903/10/8)「飛行機械の発明は、100万年か1000万年後」と言ったラングレー教授と同じ(実際にはその70日後にライト兄弟の初飛行は実現している)。
懐かしい本の文庫化。 軌道エレベーター、宇宙エレベーターの入門用に。
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