もともと児童書として上梓されていた作品の第二巻。 文庫版書下ろし、四作所収の短編集。
風早という街を舞台とした一種の怪異譚で、 大人の場合、読んでいるとすぐにラストの落とし処まで読めてはしまうものの、 それ以上に無くしたものへの憧憬と、ヒューマニスティックな温かさが 作品の最初から最後まで溢れている点が評価できる佳作。
思春期まっただなかの(しかも自意識過剰っぽい?)男子が主人公って
とこにピンとくる方にはおススメです。 女の子のこと、映画や文学や
音楽のこと、家族のこと、自分のこと等々めまぐるしくあらゆる事象を
観察しながら、思考回路が入り乱れて脳内妄想が炸裂していく主人公
が可愛いかった。
青くってダメダメだからこそ“男子”が好き、という方、ハマる可能性大。
「欲しい物は?」と聞かれても、すぐには答えられない....まして探しものときたら忘れていい物ばかり。『カネのなる木、転ばぬ先の杖!』冗談ばかり言ってやりすごしてる。探し物があって、そしてお店に売っている...それだけで心に爽快な風が吹き楽しくよみました。
「喫茶店コスモス」が一番こころに響きました。
レビューを書いている他の方のような文学的なコメントはできませんが、
あたりまえの日常がとても大切で、とても愛おしくなりました。
特に、大切な人を亡くした方に是非読んでもらいたい作品です。
東京北王子の王子稲荷のふもとの商店街に開店した「陰陽屋」の店主は
一見ホスト(ひと月だけ経験あり)まがいの、イイ男。阿倍祥明。
災難続きで、藁をも掴む気持ちで訪れた沢崎瞬太親子。
この子、本物の狐耳、しっぽを持つ拾われ妖孤。
普段は隠して生活していても、油断をすると出てきてしまいます。
売り言葉に買い言葉で、本性をさらけ出し、見込まれてしまいアルバイトを
する羽目に・・。
よろず占い処なので、ご近所さんのお悩み、失せ物などの相談に応じます。
祥明の方も、意外や意外で、元をたどればそれなりの・・でして、いい味出してます。
親が凄かったりして、苦労してんだねぇ・・と、同情したりして。
なにより私が気に入った、このお話の良い所は、番外編で友達の高坂君の瞬太の観察日記。
駿太がクラスのみんな、彼が出会った友達が駿太を好きなんだ、と、いう所がほのぼのと
暖かくていいなぁ・・と思いました。
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