水上勉の代表作でもあるこの本は大変面白いと思いました。 今回はPCを前に、本の中に出てくる地名などを検索しながら 地図や当地の映像を見ながら読み進めましたのがイメージが明確でした。
作者の文章だけでも十分イメージできるものですが こうした読み方もまた面白いのではないか、と。
読み終えて後、近所のTSUTAYAにこれを原作にした映画を借りに行きましたが 残念ながらありませんでした・・・
「白獅子仮面」、「秘密戦隊ゴレンジャー」など、人気番組の主題歌を収録!
CD2枚組なので、たくさん聴けそう!
「白獅子仮面の歌」&「十手のマーチ」に感動!
初めて読んだ水上勉の作品で、読み始めてすぐにその古典的なスタイルと情趣あふれる物語に一気に引き込まれた。元々が大衆作家で純文学にしては比較的紋切り型の展開の仕方をしているとも言えるが、著者の誇張のない淡々とした文章は物語により一層の哀切な雰囲気を加えきれいな仕上がりになっている。
二編に共通しているのは、どちらも悲劇的な女性をベースにしいた哀切きわまる物語だということ。女性関係が非常に複雑でメロドラマの様でもある。物語上ちょっとくどいところもあるが、特に傷にもなっていないと思う。
雁の寺は寺の小坊主が複雑な心理から殺人事件を引き起こす過程を描いた物。最初から登場人物が少なく、直木賞受賞という割には話の筋が見え透いているものの、悲劇的な物語が展開していくにつれ魅力が増していき話の中に引き込まれてしまう。越前竹人形にも同じ事が言えるが、(読み切る前に挫折する人も居そうなぐらい)地味な伏線を経てラストシーンでしみじみとした哀切きわまる描写に帰結していくのが読んでいて素直に情に訴えかけられてきて感動した。
特に越前竹人形はお勧め。父が恋慕した女性への憧憬から一心に竹人形を作る男の陰で繰り広げられる女性の悲劇的な過失。苦難を乗り越えた後に罪のない幸せな描写から突然訪れるラストシーンは涙を誘う。
感動的な二編。是非こういった物が好きな方はもちろん嫌いな方にも是非読んでいただきたい。
途中までは非常に良い作品だったと思います。井原家を巡る物語は、「ひとつ屋根の下」葬儀屋版といった感じもしましたし、死に対しても真摯な態度だったと思います。後半、サスペンス的要素を強調しすぎて展開が広がりすぎました。山崎務さんのキャステングはもっと生かし方があったと思いますし、水上剣星さんの演じた長峰が殺される話の展開の必要があったのか。前半の展開が良かっただけに残念な気がしました。
水上勉「土を喰う日々」を読了。作者の軽井沢での土を耕しながらの12ヶ月の食生活を記録した書です。自然の恵みを余すところ無く、味わいつくす、正に「土を喰う」生活。子供の頃の禅寺での生活で得た、精進料理をベースにして軽井沢の四季を味わう。決して贅沢な料理ではないが、精神的にはかなり贅沢な食事だ。このことは現代では難しいかもしれない。しかしながら日本人は作者のような生活を大昔からすごしてきた。いわば当たり前の生活なのである。そんな当たり前が、贅沢に見える現代に生きる我々に大きな示唆を与えてくれる。それは正に「土を喰らう」という言葉に集約されている。土を喰らっていない私達はどうすればよいのであろう。考えなくてはならないことが沢山本書には詰まっている。
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