今巻の帯に「破滅の時は近い・・・。悪夢の第9巻。」 と書かれています。
主人公たちに迫る勢力の一人がついに主人公たち犯人グループの正体を知ります。また、新たに主人公たちを「始末」しようとする謎のグループが登場しますが、彼らの正体はまだ判りません。
みどころとしては他に主人公たちの一派が身を寄せる潜伏先にいるある外国人の事情がリアルに描かれています。ここに身を寄せる主要登場人物のひとりである英(えい)の台詞を引用します。「これが現実。 人は生きていくために追いつめられたら何だってするさ。 やってはいけないことでも 程度の差はあっても そうしないと生きていけないなら」(一部、句点を追加しました)
帯の文言同様に暗い気持ちにされますが、冷静に現実を描いていると言えます。
さて、今巻のあとがきはわずか1ページ。・・何か、ここを読むと、もう終わりそうな雰囲気です。まぁ、ストーリー的にもそうですが。そのページのあとに描かれているのは、久住と伊藤ちゃん。この2人がここに描かれているということは・・・。
続きが早く読みたいです。
ますます狭まる包囲網。なかでも恐いのが、ベテランの保坂サン。彼がいちばん主人公たちに近いところに迫っています。そんな彼に今回、「影のアドバイザー」(とりあえずこう表現します)として前回犠牲者になったあの人が登場します。余談ですが彼女、本作中では追う側の立場でしたが、主人公の側のいつきに近い魂の持ち主だったので、もし真実を知ったらどんな反応を示すのか興味があったのですが、残念なことでした。
さて、本作も終わりが近づいてきたようです。それは、この巻の半ば過ぎに書かれていた
「○○(一応、伏せます)の足音がした」
から推測できます。
また、今回初めて主人公の「仕事」の相棒である久住の背景(出自)が少し語られます。彼について少し理解出来た気がしました。
本編には関係ありませんが、作画に微かな変化が見られます。また、巻末のSPECIAL THANKSのページに描かれる登場人物たちの服装が黒のスーツ・ドレスではありません。これも何か意味ありげです。
まだまだ楽しみな作品です。
1巻目がプロローグ、2巻目で登場人物の配置が終わり、
3巻で心理描写がピークに達し、
理想の展開を迎えた「君のナイフ」が4巻目に。
昨年話題になった某巨人マンガの荒削りな作風と違って、
絵柄もキャラクターの心理描写も、そして襲撃シーンも
緻密な小手川ワールドが、更に本領を発揮しつつあります。
素晴らしいのはここに至ってもう一度1巻から見直すと
ちょっとした生活感や効果音にまで、作品を支える役割が
与えられている事に気がつく事。
今までの作品にみられた、すこしギャグ漫画っぽい描写は
本作では非常に慎重に抑えられており、登場キャラクターの
頭の良さと相まって、上質なミステリー小説や海外ドラマ
の世界に浸っているような感覚に見舞われます。
派手さは少ないですが、切っ先が鋭くなった「君のナイフ」は
読み手の心に重い痛みを与えつつ物語が進んで行くようです。
続巻もこのペースとクオリティを期待しています。
第6巻です。
この巻では、新たな依頼は入って来るものの、「仕事」はありません。
そのために、第3巻のように「地味め」な感じです。
しかし、そのぶん本作に於いて「仕事」の対極の意味を持つ「贖罪」について多く語られています。
毎回思うのですが、小手川ゆあ先生は本当に心理描写が上手いです。巻末近くで「先生」に置いていかれた「いつき」の「捨てられた子猫」のような表情など特にストレートに来ます。
また、あとがきも必見です。「にゃいふ」がどうなったのかは、読んでみてのお楽しみということで。
~・僕は小手川ゆあさんの他の作品を全く知りませんし、これも単なる予想なんですが、何らかの問題提起をするつもりで作られた作品ではないんじゃないかな、と思います。 ・人間誰もが持っている、大切な「命」が扱われた話ですから、"ハイ楽しかったね"で終わらせない事も出来ますが、気軽に楽しむ事も出来ると思います。 ・惨たらしい残虐なシーンや~~、重たい議論が話の中でよく繰り広げられる、なんて事は無いです。 ・一部の女のコ向けな雰囲気が少~しあるような気もしますが、勿論それだけでの作品ではないですし、男の僕も楽しんで読んでいます。 他の方のレビューとその投票結果を見ると、僕は割とのほほんと味わってる方かも知れませんね。~
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