この本は小説の書くことに対して基本に忠実な内容になっています。例えば、 ・書きたいと熱に浮かされている時に書いてもダメ ・小説に書けるのは「本当に知っていること」だけ ・感受性を高め、世界を違う目で見てみる ・とにかく真似てみる など、小説の技法を説明するという、万人には通用せず、かつ難解なものではありません。 「いかにして書くか」ではなく、さらにそれ以前の「いかにして小説と戯れるか」という皆に有益なことを教えてくれます。 おそらく高橋氏は「小説を好きな人は多いが、小説に好かれる人は少ない」ということよく知っていて、 小説に好かれている人は良い小説家になれると考えているのかもしれません。 高橋氏独特の会話的文体で読み物としても大変面白いです。
知り合いの女の子が本作のファンだというので、林由美香の追悼上映で観たけどなるほど傑作だった。「電波少年」なんか屁でもない前人未到の冒険ドキュメントだし。しかも元々はAVだし(笑)特典映像が60分も入ってるし(やはり追悼上映で観た続編的短編『愛しのAVギャル』も秀作だった)、ブックレットも200ページ近いようで、製作サイドの深い愛情が感じられる。意外にも初DVD化とのこと。今から到着が楽しみな1枚です!
「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」といえば、ポール・オースターが声をかけ、全米から集めたお話をまとめたものだが、これはその日本版。選者は、内田樹と高橋源一郎。イラストは、ほしよりこ。ということで、かなり期待して読んだんだけど...
全般的に悪くはない。手軽に読めて、中には腹を抱えて笑ってしまうものもあるんだけど、どうも、やっぱり本家にはかなわない気がする。中には、結構、起承転結もあり、オチもきちんとしている話もあるんだけど、全般的には、あまり「ストーリー」と言った感じがしないものが多い。
どうしてなんだろう、日本にも「小話」なんていう伝統もあるんだけどなぁ。現代日本人は「物語る」能力を失ってしまったのだろうか?
と思って149篇全篇を読んだら、その謎に対するヒントが、内田樹とオースター版の翻訳者の一人である柴田元幸との対談に載っていた。なるほどね、「<アメリカ版>はひとつひとつが短編として独立したものとという印象が強いけど、<日本版>は、ずらりと並べて、作品間の濃淡の違いを楽しむ」(P.314)ってあるけど、そのとおりだと思う。
渋谷陽一氏をインタビュアーとし、季刊の雑誌「SIGHT」の2009年7月号から2010年11月号まで連載されていた記事をまとめたもの。そんなに前の出版ではないんだけど、どうも古めかしく感じる。
それは決して出版した側の問題ではなく、今頃読んで私の責任であることは予めいっておくが、やはりこういう政治評論、政治時評は、時機を逸してはいけないということなんだろう。出版された当時を読めば、ここに書かれている内容、つまり、自民党から民主党への政権交代、小沢問題や普天間問題による民主党支持率の降下、鳩山由紀夫から菅直人への首相交代などは非常にタイムリー、いやそれ以上に、先を見越した内容で、さすがだなって思わす。ただ、どうもあの世代は「政治に絶望」している感じで、ニヒリスティック(それが面白いところではあるんだけど)。
でも、東北大震災を経た今となっては、もはや、民主党政権の行く末なんか、どうでもいいことのような気がする。ここに書かれている日本なんてアメリカに編入されちゃえ、っていう極論も当時は面白かったけど、震災後の今では、そんなことでは何の解決にもなりゃしない。ニヒルなんて言ってられない。政治への絶望より深い絶望の中で生きて行けるのか。
震災後の今、著者らがどのように「政治」を見ているかは分からないが、彼らの意見を聞いてみたい。
ムック「We are宇宙兄弟」より小説、エッセイを集めた文庫本です。 宇宙兄弟作者の小山氏はイラストで登場しているのみなので、厳密な内容は宇宙兄弟とは直接会計がない「宇宙」もしくは「兄弟(姉妹)」にまつわる書き物が収録されてます。
まあ、本編とは関係ないんだけど、その関係ないっぷりも「宇宙兄弟」ファンにはちょうど良い読み物といえるかも知れません。
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