oe Boyd的にはもっとも自信作。Joe Boydファンとしては避けて通れない1枚。恐らくトラッドに寄り過ぎず、米国シーンとも心地よい距離と親近感を保ちつつ、英国マナーな(そして次作あたりから明確に打ち出すロック色もここでは程よく)フォークアルバムというような、思いつく限り配慮に富んだアルバム。
冒頭、Richard Thompsonのマイナーコードを基調にしつつ晴れやかな雰囲気も併せ持つおだやかな3拍子のGenesis hall。ハンドクラップや不思議なパーカッションとヴァイオリン、アコーディオン、どれもがとても有機的で素晴らしいアレンジ、DylanのIf You Gotta Go Go Nowのカバー。ただただ感心。Sandy Dennyのオーガニックな歌が大作A Sailor's lifeに冴え渡る。11分を超えるこの曲は冒頭の長音を効果的に使ったサイケデリカ持ち味からフロアタムで徐々に高揚させて、ヴァイオリンとギターのsolo、エンディングの静謐な8ビート、どのシーンも全て配慮に富んでいて感情的で、聴き入ってしまう。何度も、何度も。Million Dollar Bashの力強いサビは恐らくJoe Boydのバランス感覚のなせるワザ。そういうJoe Boydマナーにきちんと応えられるこのバンドの人脈というか人材の厚さというか。いいねぇ。
普通のトラッドのバンドかと思っていたけど、色んなジャンルの曲をさらりとプレイして、なかなか格好いい。 中でもリック・サンダースのフィドルが凄いです。最近、コアーズとかみたいにヴァイオリンを取り込んだ音楽って増えてるけど、フェアポートはまさにオリジナルという感じでした。 自分で音楽をやってる人には是非おすすめのビデオです。
某雑誌でブリティッシュ・フォークの特集が組まれており、フェアポートを思い出して久々に聞きましたが、全く古びておらず、現代でも十分に通用する傑作であることを再認識しました。 この作品は、デビューから徐々に志向を変化させていったフェアポートが、トラッドを本格的に組み入れて作品を構成し、トラッド・ロックなる分野を確立した一枚です。 デニー、トンプソン、ハッチングス等、最強のラインナップで、収録曲も粒ぞろいですが、ハイライトは、やはりトラッドをアレンジした「マティ・グローヴス」「タム・リン」の2曲でしょう。今回久々に聞いても、デニーの鬼気迫るヴォーカルは圧巻でした。 トラッドというと古い、暗い、小難しいという印象があるかもしれませんが、まず、この作品を聴いてみて欲しいと思います。歌詞の内容などわからなくても十分素晴らしさがわかると思います。
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