グッドバイバタフライ
印象的な表紙が、綺麗で好きです。
色々な偶然が重なって、ファッション界のフロントランナーとしてスタートされ、その後才能と努力も手伝って活躍されて超一流ファッション・デザイナーに上り詰め、著名な方々との交遊が羨ましい。
生前のココ・シャネルにオーダーするファッション好きなら垂涎の体験もされている。そしてその体験を語っている文中のココ・シャネルの細やかな女性クチュリエとしての心遣いがすばらしく、印象的。戦後しばらくしてからつい最近まで、日米欧で年に何回もコレクションを発表され、一回辺りの発表点数が数十着に及ぶとは知りませんでした。どれだけ豊かな発想力を持ってるんだと脱帽です。実家が地方の開業医だったらしいのですが、上京して進学する息子達のために杉並区に一戸建てを買ったって、すごい裕福な家庭で育ってたんですね。
日本の一流女優どころか、米国大統領夫人や欧州の貴夫人、日本の皇室・首相夫人の名までが顧客名簿にあるんだそうですから、昭和史をクチュリエの視点から書かれた本といった感じで面白かった。
ファッション―蝶は国境をこえる (岩波新書)
ハナエ・モリのデザイナー、森英恵の半生を綴った本。
幼少時代のファッションから、自身のブティック立ち上げ、映画の衣装作成、そして世界へ、と言った感じで、森英恵のデザイナーとしての歩みを知ることが出来る。
基本的に静かで上品な語り口だけど、その向こうに、デザイナーとしての誇りと自信が見え隠れしてるように思える。
シャネルのスーツを購入するエピソードが描かれているんだけど、この辺の筆のノリ方は、さすが一世を風靡したデザイナー。
いい服を着ることの喜びや楽しみが、じわりと伝わってくる文章で、素晴らしい。
ファッションに興味のある人(特にオートクチュールや高級プレタ)は、読んで損は無い本だと思います。