かもめのジョナサン (新潮文庫 ハ 9-1)
この本は、人生に包含される様々な真実を見せてくれます。
人間の可能性は本来的に無限なはず。それを制限しているものは?
理想・夢を持つこと、追うことの素晴らしさ、辛さ、孤独・・・。
達成した果てに得るものは何か。人生のリスク・リターン・・・
そんなこんなを、カモメを擬人化することで分かりやすく、ストレートに表現できています。
ジョナサンをどういう風に評価するかで、自分の価値観が計れるところです。
読んだ後、妙な不思議な気持ちになり、そして深く考えさせてくれるのも本書の特徴ではないかな、と思います。
親鸞(上) (講談社文庫)
一気に読んでしまいました。
フィクションの部分がありますが、そこに五木氏の仏教界の造詣の深さが
でています。別の方がかいてありますが親鸞や仏教に関係なく面白く
読めると思います。お勧めします。
きょう一日。 非常時を生き抜く究極の五木メソッド55
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岩波文庫から出ている、貝原 益軒の養生訓を今あえて読むのも大変趣き深いが、
齢80に迫る五木寛之氏の養生訓も自己の経験に裏打ちされて
大変興味深い。
今の時代、不摂生を重ねて、体を壊しても
国や、行政はもちろん、漠然と親族にも頼るというわけにはいかないだろう。
まずは、個々人が養生を図り、きょう一日の生を享受しなければならない。
日々歳を重ねる事は意識はしなくても、やがて
遠方に見た年齢も、自らの事として降りかかってくる。
本書で述べられているのは、健康法は人の数だけあるということ。
自らの体調と精神を知る事で、他人の健康法を真似ることなく自己との対話を促す。
氏が行っている簡単なストレッチを始め、古今東西の健康に関する深い考察にとんだ
ウンチクなど健康教養書とも言える内容になっている。
イラストがあるとはいえ、やや分かりにくいところもあるのも事実。
DVDがついた字が大きいムック形式の実践本などが、出てくれれば
氏のファンならずとも、簡易な国民健康法として高齢者施設などで重宝されるのではないだろうか。
親鸞 (下) (五木寛之「親鸞」)
なぜ生きることは苦しいのか。
なぜそれでも生きなければならないのか。
この苦しみから救われる道はないのか。
親鸞は私たちの存在は小さく、罪深いものではあるけれども、
それでも誰もが幸せを願い、そして幸せになることができると
私たちと同じ目線で語りかけてくれます。
親鸞が社会の底辺から頂点にいる者たちと接し、
迷い悩みながら成長する過程が生き生きと描かれています。
原理論や自己責任論が支配する世だからこそ、
多くの方に読んでもらいたいと感じました。