名犬ラッシー / ラッシーの勇気 [DVD]
森の中に、母犬と兄弟たちとはぐれたコリー犬の子どもが1匹。ある日、
近くで牧羊を営むメリック家の少女キャシー(エリザベス・テイラー)に見
つけられ、飼われることになる。キャシーは、コリー犬にビルという名を
付け、立派な牧羊犬に育て上げる。ある日、キャシーは、羊追いをさせ
ている最中、ビルを見失ってしまう。実は、ビルは交通事故に遭い、緊
急で病院へと連れていかれたのだった。動物病院で、回復したビルだ
ったが、飼い主がわからないことを理由に、今度は、軍用犬として徴用
されてしまう…。
『名犬ラッシー / 家路 [DVD]』、『名犬ラッシー / ラッシーの息子 [DVD]』
に続く、MGMのスター犬、ラッシーを主人公にしたシリーズ第3弾。第1
作にも出演していたエリザベス・テイラーが再度出演している(ただし、
役は全く別)。不思議なことに、タイトルにはラッシーの名が冠されている
ものの、劇中では、ビルという名が使われている。劇中の美しい自然の
景観は、カナダで撮影されたもの。
冒頭、数分間の『バンビ [Blu-ray]』を思わせる、ラッシーと野生動物た
ちの触れあいの導入部(セリフはなし)から、ファミリー・ピクチャーらしい
ムードと美しさに溢れているが、それ以降の展開は、かなり重く暗い。
第1作から連綿と続く、「飼い主の元へ帰る」という基本プロットは変わ
らないものの、本作においては、飼い主の元へ帰るまでに、ビルに随
分と苛烈な試練を課しているような気がしてならない。3度も撃たれて
生死の境をさまよい、軍用犬として、爆撃の嵐の中を道案内し、戦争
後遺症になり、裁判にかけられ…と波乱そのものの展開で、ハッピー
・エンドが待っていることはわかっているものの、ビルの苦境を観てい
るのが辛くなってくる。
とりわけ、忠実という犬の特性を利(悪)用して、ビルが軍用犬として訓
練され、戦場に駆り出されるのには、胸をつかれる。タイトルが示すよ
うに、製作側としては、戦時のビルの行動を「勇気」や「美談」として称
揚したいのだろうが、むしろ、人間の身勝手な傲慢さや愚かしさが感じ
られ、暗澹とした気持になる。せめてもの救いは、14歳のテイラーの無
垢な美しさで、暗さが若干、緩和されている点だろうか。いずれにせよ、
第2次大戦直後という世相を反映しているせいか(戦争後遺症、復員問
題)、明朗なファミリー・ピクチャーとは程遠い作風の作品だ。
本DVDは、クラシック作品のリマスター、レストアでは定評のあるワー
ナー・ブラザースのマスターを使ったもの。しかし、徹底的なレストアの
跡はあまり見られず、全編、褪色、色ムラ、キズが目立つ。おそらく、
VHS時代の1インチ・マスターかLD時代のD2マスターを流用している
のだろう。それでも、鑑賞の妨げになるほど悪い画質ではない。音声
もそれほど問題はない。
特典には、本作の予告編2種とテックス・エイヴリーによるドルーピー
短編『名探偵ドルーピーの大追跡』”Northwest Hounded Police”(傑
作!)、トムとジェリー短編『恋ははかなく』”Solid Serenade”の2本の
短編アニメが収録。後者作品は、制作上の不良なのか、一部、日本
語吹替えと日本語字幕が同時に出るような箇所がある。
名犬 ラッシー [DVD]
犬と人間の絆、深い愛情が感じられて、
素直に感動できるいい映画でした。
心に残るセリフ、好感の持てるキャラ、
さまざまなエピソードも楽しかった。
ネス湖のおじさんの会話はおかしいし、
ラドリング公爵もいい人で良かった。
美しいイギリスの風景も素敵だし、
最後の小犬たちも可愛くて微笑ましい!
ただ、日本版主題歌が安っぽすぎて、
気分が一気に盛り下がってしまいました。
作品の質がワンランク落ちた感じです。
子供と一緒に楽しめる映画ですが、
字幕版で見たかったなと思いました。
アリーテ姫 [DVD]
身分に縛られて豪奢な城の一番高い塔のてっぺんに“囚われてる”アリーテ姫が、宿命の呪縛から自らを解き放ち自由になるまでを綴った物語です。
監督はフジテレビの『ちびまる子ちゃん』『名犬ラッシー』に携わった人で、いわゆるフツーのアニメ的な荒唐無稽な演出よりも、“学校でケンカした”“友達と草原で駆け回った”などといった等身大のリアルな感覚をアニメ的技法でさらっと描くのが上手い人です。
この作品も舞台設定こそ魔法の存在するファンタジーの世界ですが、宿命に束縛されていたアリーテ姫が暗い牢獄の静寂の中で小さな希望を見つけ、生きる力を取り戻していく過程はとても写実的でリアルです。
リアルであるがゆえに娯楽としてのインパクトには欠ける一方で(だから娯楽を求めてる方には合わないと思う)、だからこそメッセージはとても印象深く共感できるものとして伝わります。
呪縛から解放されて大地を甦らせ己の生へと歩き出すアリーテ姫の姿は、厳格な貴族のお屋敷からこっそり抜け出して草原で同い年の少年たちと駆け回る『名犬ラッシー』のプリシラの姿と重なります。
☆が4つなのは、物語が“さあ、これからだ!”というトコロで終わってしまうからです。少しでも長く、あと5分でもいいから、解放されて
自由に羽ばたくアリーテ姫の姿を描いて欲しかった。
―がそれを差し引いても無意味に派手な演出が多い今の時勢で、ここまで繊細なタッチをストイックに貫いた姿勢は賞賛に値すると思う。
ヤマタケTVヒッツ!~山下毅雄TVテーマ作品集~
同時期にビクターから出た初CD化曲満載の「ヤマタケ・フォーエバー」に較べると普通のベスト盤です。音や選曲に定評のあるテイチク・クロニクルシリーズにしては無難な選曲で、既に「早すぎた奇才・山下毅雄の全貌」シリーズで聞けるものばかり。初心者向けと言っていいでしょう。しかし見過ごしてはいけません、実は貴重な音源も数曲入っているのです! 「ジャイアントロボ」2番抜きショート・バージョン、「怪盗ラレロ」のセリフ入り別バージョン、「時間ですよ〜東京下町あたり」等は多分、初CD化。それになんといっても「佐武と市捕物控」がテイチク・レコーディング・オーケストラによる別バージョンで、全盛期のヤマタケの口笛に伊集加代子の艶っぽいスキャットがばっちりからむ素晴らしい出来! マニアの方はこれ1曲だけでも買う価値あり、と言っておきましょう。
名犬ラッシー / ラッシーの息子 [DVD]
イギリスのヨークシャー。カラクルー家自慢のコリー犬、ラッシーに、子犬ラディーが
生まれる。地主の大事な花畑を荒らしたりして、腕白ざかりで、親の利発さを受け
継いでいるのか怪しいラディーだが、そんな彼を飼い主のジョー(ピーター・ローフォ
ード)は溺愛する。平和な日々を送っていたカラクルー家にも戦火の影は忍び寄り、
ジョーは航空学校へ入学する。ある日、ドイツ占領下のノルウェーを空撮するという
危険な任務の飛行中に砲撃を受け、ジョーは、ラディーとともにパラシュートで脱出、
ノルウェーの敵陣に着地してしまう…。
映画史上で忘れられない動物スター、ラッシー主演で大ヒットした『名犬ラッシー / 家路 [DVD]』(43)
の続編。ジョーとプリシラ役は、交代になったが、前作から、ドナルド・クリスプ、ナイ
ジェル・ブルースなどが引き続き出演している。エリック・ナイトの原作のキャラクター
設定を借りつつ、オリジナル・ストーリーを創作。動物映画でありながら、反ナチ的要
素を含んでいるあたりは(プロパガンダとまでは言えないが)、時代の反映だろう。日
本未公開作。
人間と犬のラブ・ストーリーと言ったら大げさかもしれないが、ジョーとラディーの情愛
の深さ、絆の強さは、前作以上の印象だ。彼に思いを寄せているプリシラそっちのけ
で、ジョーがラディーのことばかり語り、じゃれ合う描写は、観ているだけで微笑ましく、
心が温かくなる。実際に、ローフォードが、ラディーと心を通い合わせているのが画面
から伝わってくるほど。前半のヨークシャーでの、のんびりと牧歌的な描写から一転、
後半のジョーとラディーのノルウェーでのすれ違いと脱出のサスペンスとアクションも、
サイモン監督の手際の良い演出(と、ドッグ・トレーナーの手腕)で飽きるところがない。
他愛ないと言ってしまえばそれまでだが、安心して観られるファミリー・ピクチャーの良
作だ。
本DVDは、クラシック作品のリマスター、レストアでは定評のあるワーナーにしては珍
しく、リマスター、レストア(最低限の手はかけているようだが)がされていないマスター
を使用しているようだ。細かいパラ(キズ)や色ムラ、黒い縦キズなどが散見される画質。
しかし、鑑賞には全く支障がないレベルだ。音声も良好。特典には、ハンナ=バーべラ
の『トムとジェリー』短編”Flirty Birdy”(45)と予告編が収録。