孤独を生ききる (光文社文庫)
瀬戸内寂聴さんのお名前は存じ上げていたのですが、実際に本を読むのは初めてでした。どれだけ説教くさいのだろうかと予測していたのですが、ご本人いわく「もっとも手紙をいただいた著作」というだけあって、個人的にはとても学びのあった本です。
この本は、月夜の晩に、問題をかかえて瀬戸内さんのところに来訪したお客さんに対して、瀬戸内さんが語り聞かせるというような文体で書かれています。つまり、読みやすいのです。
問題を抱えている人というのは、「親子」、「夫婦」、「男女」、「友人」、「同僚」、「不倫」、「未亡人」、「愛人」、「老い」というような内容で、不倫や愛人は別としても、その他は誰もが体験する人間関係や事象なので、きわめてわかりやすいです。
ここから先はネタバレですので、内容を知りたくないかたは読まないでくださいね。
(以下、ネタバレ)
瀬戸内さんの立ち位置は明確です。
「何があっても人は孤独。孤独だということを痛感し、それを前提にしていけば、人への対応も優しくなるし、自分も苦しまなくてすむ。さらに、孤独を愉しむことだってできる」というのです。
ほんとかなぁ、と読み進むと、出家前は瀬戸内さんご自身が愛人であったことの告白もあり、また、サガンの「悲しみよこんにちは」、トルストイの「アンナ・カレーニナ」、北原白秋や有島武郎の修羅場、哲学者サルトルの失禁といった実例があり、それらから、瀬戸内さんの「孤独観」が語られます。これが心に響きます。
前提は、相手も自分も孤独ということなので、「相手を理解しようとする努力に終点はない」ということに気づくし、「相手にわかるように語り続けることは重要」ということも、「相手(親、子、同僚、上司、友人)を認めていることを表現することが大切」ということも理解できます。
さらに、孤独を飼い馴らす=自分は孤独であることを覚悟をもって生ききる、というメッセージが印象的です。そこには、「あの人はわかってくれると思っていたのにがっかり」という視点がないのです。
誰かに認めてもらえたほうがうれしいのですが、それでも、他人に左右されずに自分自身を生ききることが原点にないと、自分がブレてしまいますので、「生ききる覚悟」を再認識した本でした。
栗原はるみ haru_mi (ハルミ) 2011年 10月号 [雑誌]
haru_mi (ハルミ) 2012年 の冬号が良かったので、この2011年の秋号も購入しました。
とくにお料理のレシピは良く書かれていて、これを読んで何回か作っております。
家族からも好評のようです。
この号では瀬戸内寂聴さんとの対談も楽しく読ませていただきました。
次の春号も購入しようかと考えています…