クリティカル・シンキングとは正しく考えることである。「批判的思考」と訳される。カントの「純粋理性批判」などの批判である。他を否定することではない。大辞泉によれば「批判」とは「物事に検討を加えて、判定・評価すること。」である。批判は明治期に作られた和製漢語だろう。元来否定の意味はなかった。しかし、欠点は目につき易い。批判の思考が問題点の指摘に向けられ、意味が変遷したのは人間の性癖の故と思う。
本書一冊で十分である。知識には情報と体得と二つがある。本を読んでも意味がないと言う人がいるが、間違いである。情報的知識は本から十分に得られる。水泳を始めた人がクロールで上手に泳げないという。小生は多少水泳に自信がある。掻いた手は「ズボンのポケットから手を抜くように」と教えて感謝された。本に書いてあったことをそのまま言っただけだが、的確な表現を学べるのも本の良さである。
体得的知識は本で習得できない。眼前の問題を考える実践の中で身に付けるしかない。セミナーに行っても意味はない。講師は我々の仕事を体験していないのだからいわば泳げない水泳コーチである。理想は先輩や上司から時々助言を受けることである。無理なら本を参考に自分で考え抜く。
小生がセミナーの講師なら次の三点だけを言おうと思う。
・ 良く見る。
ロジカル・シンキング云々という本を読んでいたら、統計資料を見て考えよという問題があった。技術者はまずその統計自体を疑う。二十代と回答しているが、本当に二十代か。学生時代の統計学の教授の講義は脱線ばかりであったが、教授の著書には「生年月日を書かせない場合、とくに女性はxを9以下の自然数としたとき、20+x歳を20歳、30+x歳を30歳と書く傾向にある」という意味のこと(正確な文言を失念)が書いてあった。実験も統計も人間が行なうことである。必ず抜けや間違いの可能性が伴う。データをよく見、話を十分に聞き、納得いくまで確認することである。それがクリティカル・シンキングである。
・ 決め付けない。
某米国資本企業の日本の工場。工程で不良が発生した。工程Aが疑われた。対策会議でその工程の担当技術者は「製品1は工程Aを通るが製品2は工程Bで処理する」と淀みなく答えた。問題が発生した製品2は工程Aを通らない。振り出しに戻ることになった。しかしである。後で調べると実はその逆であった。担当技術者は工場の幹部が出席した場で「知りません」とか「調べます」と答えにくかったのである。技術者が嘘を、少なくとも技術的問題にかんして言うとは考えられなかった。これが決め付け、思い込み、捉われである。自ら思考の範囲を狭めないのがクリティカル・シンキングである。
・ 安心しない。
工程でときどき不良が発生する。原因はAかもしれないと考える。Aの対策をする。不良が止む。そこで安心することが多い。一つの問題に考えられる原因は十から数十ある。一つ思い付いたからと言って安心して途中でやめず考え抜くことである。小生は工程の技術者としてこれを何度も経験した。Aの対策で問題が一時的に止まったのは単なる偶然であり、原因は全く別の所にあったのである。あらゆる可能性を考え抜くこと。これもクリティカル・シンキングである。
各説明に体験談を入れて20分ずつ。一時間あれば終わる。それでは商売にならないし、第一ありがたみがない。簡単なことを難しいように説明するのもセミナー講師の腕の見せ所である。その意味で小生はセミナー講師に向かない。
本書を読んだ大抵の技術者の感想は「技術者なら当たり前のことではないか」だろう。説明も冗長で少々まどろっこしいと感ずる向きもあるかもしれない。情報のうち九割は各自の常識の中にある。しかし気付かないでいた一割が値千金なのである。秋月りす氏の漫画も面白い。弱点の修復と漫画とで十分元は取れる。本書を購入したら手元に置き、各自が体験した失敗をノート代わりに赤文字で書き込もう。傍線やマーカーや書き込みのある本は元の価格の何十倍もの価値がある。
OL進化論では世の中の眼に見えない法則を鋭く見つけ出すネタを
繰り出す秋月りすだが、おうちがいちばんではその鋭さはだいぶ
緩和されてほんわかファミリー4コマというのがおおまかな印象だった。
今巻も基本的にはその印象は変わらないが、今までも頻発していた
課長の姑ネタが洒落にならないレベルの確執だったと判明。
せいぜいイヤミを言われるくらいなのかと思っていたら、
アレルギーとわかっている(思い込んでいる)ものをわざわざ選んで
お中元で送られる程だったとは…。
他のネタがほのぼのだけに、このネタだけ読んだ時背筋が寒くなった。
また、主人公の妹がなんでもできるのに便利に使われるだけというネタも
「ああ・・・世の中こういうもんだよな・・・」と思わず寂寥に
囚われてしまった。
やはり、秋月りすは見た目のほのぼのの中に潜む鋭い刃が本質なのだと
再確認する1冊だった。
もともと原作のOL進化論が面白いこともさることながら、OLの日常生活(家族との会話)や、オフィスでの業務に関わる話題(給湯室での話題など)がメイン。 対訳があるので辞書いらずだし、簡単な表現が多いから意外と使い道が多いと思います。肩ひじはらずに楽しんで読めるいい教材だと思います。 この本は第4巻。 もっと「ビジネス」寄りが良い人には、同じ出版社のバイリンガル版『部長島耕作』がお勧め。
やっと、やっと、やっとでました中間管理職刑事
OL進化論を小学生の頃初めて読んで(そのころはまだ5巻が最新刊だった)それからずっとこの作者さんの本は全部買ってました。
時々読みきりで出てくるこの中間管理職刑事はかなりお気に入りだったんですが、ついに単行本になってくれました!
もうこれは買うしかないでしょう(笑)
内容はもう、安心して読める4コマ。これからもこのシリーズ続けて欲しいです。
期待過多のせいなのか、ちょっと残念に思えた「33巻」でした。
課長家族のエピーソードも、OLメンバーのジュンちゃんシリーズ、 単行本かもされた「35歳独身で」シリーズ、田中さんのお話も 特に目新しさもなく、全体的に淡々と描かれていて、 笑えることは笑えるのですが、全体(1巻から33巻)から思うに お笑いの小休止のような感じです。
小休止とは言っても、さすがは「OL進化論」と言える内容です。
次巻以降、期待したいと思います。
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