大勢の人がこの小説の舞台には登場する。その何十人もの人々に、サドによる緻密精細な描写が加えられている。それがまた吐き気を催すほどひどいようすの描写で、本当にすごい。私は、難しいことは分からないが、とにかくすごい数の変態が出てくる小説だ。サドの生きた大昔のヨーロッパに、既にこんな変態を考えうる時代背景があったなんて・・・人間の性は、いつの世も変わらないのかなあ。
とにかく、この小説の舞台を支配する主要な登場人物は舌を巻くほどの快楽主義者で、快楽が何よりも偉い。読者が自分の良心の正しさを疑いだしてしまうほど、主人公たちは悪の制裁にとまどわない。
けれど、自分の、いつもは眠っている深層心理の部分が強く揺れ動かされた感じはした。
続きはかなり読みたかった。
文章はとても緻密で説明が多いが、三度目チャレンジでやっと読み終えた。読み終えたのにこの消化不良感じはちょっと辛かったので、星3つ。
エログロにまず目がいきますが、非常に批判的で真剣な内容の映画です。が、これは単なるファシズム批判でも権力批判でもなさそうです。要するにこの映画の言いたい事は、人間は獣であり、犬畜生にも劣る直視に耐えない欲望を抱えたどうしょもない存在だ、ということなんだと思います。その批判は観客だけでなく監督自身にも向けられたものであることは、醜さをありのままに捉えて表現せず、洗練された高い美意識によってそれを映像化し、監督自身の「獣の美学」を余すことなく映し出していることからも推測できます。つまり監督は器でも表現してみせたのです。内容からしてもこのような危険な方法でこの作品に臨むことはそれなりの覚悟を要求したでしょう。主張はありふれていて多少説教臭くも感じますが、自身の内部を見つめ、獣と共に生きた監督だからこそこの作品をつくることができたのかもしれません。 欲望と権力の行き着く先を描いてみせたこの作品は、我々の心の内に潜む獣の本性を極端な形であぶり出し、それに直面することを要求しています。それに目を背け直視しないとすれば、またナチスのような悲劇が繰り返されるだろうという反戦的な情熱の他にまた違った情熱を感じたのは私だけでしょうか。
パゾリーニの魅力全開だ。嫌いな人は見なければよい。ソドムは長らく手に入れづらかった作品だけに、感無量だ。こういう作品は永遠に価値の下がるものではない。今買わなければ損をする。
モーゼルミリタリーをぶっ放す 小嶺さんが良いですね 大予算をかけた駄作より 低予算の怪作のほうがいいですね
「生の三部作」や、『奇跡の丘』に隠れてしまっているが、この『豚小屋』こそパゾリーニの最高傑作である。中世と現代のエピソードの交差は詩人とマルクス主義者、二つの面を持つパゾリーニの面目躍如である。 パゾリーニの作品は常に消費社会(=ファシズム)への告発をアレゴリカルに投げかけているのだが、彼の作品の中でも例外的にその実生活における「同性愛」的嗜好へのメタファーがこの作品の背後にはある。ゴダール作品の常連が出演しているが、68年の運動を総括するという意味でも、本家を凌ぐメタレベルの作品。
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