「スタンド!」、「暴動」と過激なアルバムが続いた後、このアルバムを聴いた時は何か肩すかしを食ったような、でも何か引きつけられてやまないものを感じた。邦題「輪廻」は前作の印象からつけたものだったのだろうが、少しはずしているような気がする。
「スタンド!」はまさにそのタイトルどおりのアジテーションいっぱいのアルバムであったが、結局、ウッドストックなどで彼は音楽のと言うかロックの限界を知る。続いた前作「暴動」は、リズムボックスを前にスライがスタジオで暗い眼をして立ち尽くしていたようなアルバムであった。いずれも、「超」がつくくらいの名盤である。が、今から思っても当時リアルタイムでも思ったのが、「ここまで行くと、もう、後が続かない」と言うことだった。
そして、スライは麻薬漬けとなった。全ては終わってしまったのだ。天才スライの才能を全てぶつけも、いくらアジっても、ロックでは何も変わらなかったのだ。敗北だった。
そして、それでも、スライは音楽を作り続けた。その結果がこのスライの人間宣言でもある「フレッシュ」だ。これまでのような実験音楽的な要素は影を潜め、ファンキーなつまり人間的に非常に躍動感のあるアルバムになった。前作までと本作では大きな違い、変化がある。
変化の中でも特に顕著なのは、ボーカルがほとんどと言っていいくらい電気処理されていないナマの声だということである。「ケ・セラ・セラ」でのボーカルは圧巻と言うくらいエモーショナルなものである。が、どこか厭世的な手触りもある。単なる「楽しい」ファンキーアルバムではないのだ。
いずれにしても、スライはまた帰ってきた。普通の人間なら逃げ出してしまう局面である。天才と言うのは本当に厳しいものだと思う。
今回もPV,LIVE,オフショットなどいろいろ入っていてよかったけど・・・
やっぱり完全なLIVE DVD(DANCE FLOOR MASSIVEとか?)を見てみたいと思いました。
リップのこの曲は何といってもなリズムがいいです。速いテンポで明るい、最高です!リップを知らない人もぜひ聞いてみて下さい!
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