第45話・46話(終)のレギュラー2話と、十年目の再会・二十年目の選択・三十年目の運命、が全て収録された贅沢な1枚です。
画質はリマスターしたと言っても、ほぼ当時のままで良くはありませんが、BD特有の長時間収録(393分)を生かされた逸品です。
画質の分、☆一つ減しました。あとは申し分ありません。
1974年の夏から秋、最終回までの7つのエピソードを収録。
この『われら青春!』で惜しまれる点のひとつとして、生徒たちの卒業までを描くことができなかったことが挙げられる。卒業まで行かずに終わった学園ドラマは数多くあるが、『われら』の場合特に、2度留年している山本がいたので、彼が無事に卒業できたのかどうか気になるところではあるが、残念ながら、それは永遠の謎となっている。
『われら』にはオリコン10週連続第1位でミリオンセラーとなった挿入歌「ふれあい」もあったのに、何故番組は続かなかったのか……という疑問も沸いてくるところだが、「ふれあい」の発売は7月1日、売れ行きに火がついたのは8月に入ってからであり、『われら』の延命にはあと一歩、間に合わなかったものと推察される(この巻に入っている第17話―74年8月4日放映―の冒頭で「9月の第4日曜に、星山学院との試合が決まった」という、最終回への伏線となるセリフが登場している)。
といったようなことはあったものの、この第3巻を通して見てみると、最終回へ向けてドラマを盛り上げる、ということまでは手が回らなかったようにもみえるけれども、コミカルさと泣かせる要素を両立させつつ山本の母を演じた塩沢ときの女優魂に感動させられる「おふくろさん」などの佳編も含み、見どころは少なくない。「男のガッツと女のハート」に女生徒役でゲスト出演している竹下景子(当時20歳)のチャーミングさも一見の価値あり。
そして最終回。ちょっと展開が強引な気もするが、さすがに鎌田敏夫氏が脚本を執筆しただけのことはあり、期待通りのさわやかなエンディングであった。そしてそれは、日テレ青春学園ドラマシリーズ―高校を舞台とし、教師と生徒たちがスポーツを介して相互理解を深めて行くもの―のひとまずの終幕であり、同時に俳優・歌手=中村雅俊の華々しいキャリアの始まりでもあった。
この国は戦後、一心不乱に復興発展の時期を走り抜け1975年、一種の国家的倦怠感にあった。何もかもに疲れ果てている。若者達にとっては将来に夢も希望もない、ただ決まりきった線路上の平坦な道のりを淡々と歩むような脱力感に苛まれていたであろう。そんな中このドラマにおける3人の若者は何故か眩しい存在感を放っていた。彼らの生き方はこの時代の若者達の「理想」であろう。そこにはいわゆる青春の輝きと自由を追い求めながらも現実に向き合う事を余儀無くされる3人の葛藤や苦悩が視聴する若者達の姿に投影されていた。しかし旅は続くのだ。青春の旅路は傷だらけながらも眩しく楽しいモノだと3人は教えてくれている。「面白き事も無き世を面白く」である。今の世も倦怠の時代である。だとすれば今の世の若者達にも是非このドラマを見て欲しい。
『飛び出せ!青春』も好きな人にとってのボーナス・エピソード(?)、「われら同級生!」のことをメインに書かせていただこうと思う。
木次(沖正夫。のちの森川正太である)と畑野(降旗文子)が結婚することになり、思い出深い母校の教室で式を挙げたいということから、片桐(剛達人)、柴田(頭師佳孝)、そして沖田先生(中村雅俊)の大学の先輩でもあるビギン(村野武範)ともども、太陽学園へとやって来る……という筋立て。
ビギンは本倉先生―今回は登場せず―と結婚して太陽学園を辞め、今は島の小学校の教師をしているという(どうでもいいけど、髪の伸びっぷりがすごい。TV『日本沈没』の撮影に入る直前だろうか)。
いっしょにやって来た教え子たちは、全員大学生になった模様(柴田の落武者風ロンゲが目を惹く。片桐は『電撃!!ストラダ5』でヒーロー業をこなした直後。木次はほぼ『俺たちの旅』のワカメに近づいている)。
となると、心中複雑なのが“高校5年生”の山本(穂積ペペ)だ。
その山本のことが原因で『飛び出せ!』チームと沖田の生徒たちとの間に不穏な空気が流れて……。
まぁ、『われら』での山本は何も気にかけることなく、時に先輩風など吹かせながら気楽にやっているかのようにみえたが、ダブった当人がその事実を気にしていないわけがないのであって、そのへんの苦渋を軸に、しかしシリアスなだけでなく、ビギンにベタ惚れだった真樹(青木英美)が、久々の再会にどう対処するかなど、楽しい要素も入れ込んでドラマを展開させるあたり、さすがは敏腕脚本家・鎌田敏夫である。
ついでのようになってしまったが、この巻では他に「やればやれるさこれが青春!」がおすすめ。軽い、楽しめる話だと思っているうち、いつのまにか怒涛の感動モードへと突入して行く。あの「ふれあい」が初めて歌われるのも、この巻収録の第13話だ。お聴き逃しなく。
このアルバムのタイトルを見た時「あぁ、また学園ドラマ主題歌のオムニバスか・・・」と思いました。 でもよく見ると、ジャケットは「ゆうひが丘の総理大臣」! 「そうかぁ・・・やっぱり総理は学園ドラマの代表作なんだなぁ・・・でも、総理って所謂、熱血先生っていう感じでもないような・・・なんかもっといい加減で、自然体で、バカっぽくて・・・そのあたりがそれまでの青春ドラマの先生と違って好きだったんだけど・・・」 そんなことを思いながら曲目リストを見て、私は驚きました! 収録されている曲の半数近くが「総理」関連の曲なんです! 主題歌は勿論、挿入歌も井上純一の曲を除く全ての曲が収録されています。 そして何よりも最大の驚きは、今回初CD化となったインストの3曲でした。 3曲の内、2曲は「青春ド真中」のために書かれた曲ですが、「総理」にも使われているファンなら馴染み深い曲です。 私はこの3曲を聴くためにこのCDを買いました(笑) ちなみにこれらのインスト曲はバップの「ミュージックファイルシリーズ」で既にCD化されていますが、今回収録されているのはドラマの放送当時に発売されたステレオ録音版です。 ここからは、私の推測ですが、このCDは本当はこんな中途半端なオムニバスではなく「青春ド真ん中」と「ゆうひが丘の総理大臣」に絞って、放送当時に発売された曲をすべて網羅したアルバムにするのが理想だったのではないでしょうか? いつの日か「青春ド真中」のサントラ盤と「マン・テ・ラレコードゆうひが丘の総理大臣」がCD化されることを願っております。
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