人生の折に触れなんども方丈記を読み返したという著者の訳は非常に わかりやすく、要所要所において著者の理解が参考に述べられている のも大変に興味深い。あくまで、参考程度に慎ましやかに添えられて いるそれぞれの参考の意見自体方丈記の魅力を高めている。 この本を読み、私は古典への親しみを一層深くした。これは、 訳者の力によるところが大きいように思う。大変良い本だった
中村うさぎさんのエッセイで、
『清貧の思想』が触れられていて興味を持ち、読みました。
(触れられているといっても数行でしたが・・・)
私自身、
俳句や詩などにはほとんど接してこなかったので、
取り上げられている俳句などは、
十分に良さを理解できませんでしたが、
紹介されているエピソードなど、
基本的には「読んでよかった」と思える内容でした。
お金や物などに関して、
「足るを知る」
ということの大切さを教えてくれている部分は特に素晴らしいです。
現代の日本人は考え方を改めるべきかもしれませんね。
この本のおかげで、『徒然草』に興味が出たので、
近いうちにキチンと読んでみようと思いました。
全体の評価としては、星4つです。
「清貧」で有名になった中野さんのエッセイ集。
中野さんの場合は「清貧に甘んずる・」とか否定的な意味合いは無く、「富んで慳貪である者を軽蔑し、貧しくとも清く美しく生きる者を愛する気風は、つい先ごろまでわれわれの国において一般的でした。」ということで、積極的に清貧に生きる話をしている・・。慳貪(けんどん)とは、最近欧米で非難されているの「グリード(貪欲・強欲)」あたりと同意義ですね。その「正反対」が「清貧」。「清」はいいけど「貧」はどうも・・という向きも多いだろうが、重点を「清」に置くと、「貧」は問題にならないという事ですね・・・。
大きな活字で、60台以上がターゲットかな?と思える。なかで印象深いメッセージを下記に抽出;(→以下は私の感想。)
1)70歳を過ぎると長時間のフライトが耐えがたくなる。欧米に行くのが難しくなる。近い海外は大丈夫。→60台のうちに遠い海外で行きたいところは多少無理しても行っておこう。(近場の海外とは、韓国、台湾。もちろん国内旅行もOK。)
2)ほんとうの趣味をもつといい。「ほんとうの趣味とは、それをせずには生の充実感がえられないもの。」・・碁・将棋なんでもいい。それが真の好きになれば、どんなことだって輝きだし、人生を満たしてくれる。で、アランが引用されている。「趣味を養うにはたった一つの手段しかない。即ちどんな粗雑なものであろうと、自己の趣味に勇敢に従うこと、そして自ら感じることを正確に自己に告白すること。あらゆる教養はだから虚栄心と対立するはずだ。」・・つまり「文化に関する事柄については、自分の感じるところを正確に信じる以外に判断の方法はない。→ 「感性に忠実に」かな?
3)年をとらないと面白さがわからない、そういう古典はある。→ やっと古典が読んでわかる下地ができてきたかな?
1)については、「船旅なら船医も居るし、体に楽だから70台でも大丈夫」という説があるのを見つけた。「なるほど!」。しかし、船で世界一周などすると結構高いよね・・。
中野さんがテーマ毎に段を選び並び替えている点に特色がある。中野さんは恐らく「死」と「老いてどう生きるか」に関わるテーマを中心にしたかったのではないかと思うが、一般向けにするために焦点が拡散してしまった感がある。もったいない。僕としても、「老いてどう生きるか」にもっと深く突っ込んだ個人的解釈の展開が欲しかった。
肉親が闘病生活に入った。書店を眺めても、ガン、がん、癌・・・という
タイトルが気になる。ふと目についたのが、この本。著者が腹部の異変に
自覚し、治療入院するまでの日々を記している。文章は日々の家族との生活、
愛犬との散歩を含め、淡々と記されているが、生きていることへの愛おしさに
あふれている。また、知友人の紹介で次々と期待できる医師や治療法、
病院が出てきて心が揺れる。巻末にこの日記が書かれる3年前に著者の残した
「死に際しての処置」12項目がある。心に残ったのは、「死はさしたる事柄に
非ず 生のときは生あるのみ、死のときは死あるのみ、悲しむべきことに
非ざるが故に」。
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