やっと出ましたね。雑誌で知って即予約しました。 絵も音楽もストーリー展開も時間の長さもそしてラストも全て好きです。自分の中の何本かある完璧な映画の中の一本です。 興味があって、今回初めて観る人もいると思うので、あまり詳しくは言いたくはないですが、決してお互い視線を交えて自分の相手に対する想い、その辛さ、そして失ってみて改めて気付く相手の大切さを話す事はなく、あってもそれは数分の事で、大半は一方的に相手を見つめながら、相手の視線を感じながら背を向けてでしか胸の内を晒す事が出来ないシーンは心に強く残ると思います。 そして僅かばかりの希望がありそうながらも、決して明るいとは言えないラストシーン、心に沁みる事間違いないです。
また監督のヴィム・ヴェンダースは小津安二郎監督のファンと言うのは有名ですが、これは小津監督の東京物語と云う作品へのオマージュ、じゃなければ返事、回答とも思えます。 相手に対する想いや愛が強いからと言ってそれが決して幸せには結びつかない、逆に結びつかせるどころか現代は家庭を崩壊させバラバラにするもの以外の何ものでもない、そして想い愛する人を幸せにするにしても、一つ屋根の下に住む事ではなく、一人遠くから思うだけしかない。そんなシビアな視線を感じさせる作品でもあります。
ライクーダーの絶妙なスライドギターが見事にシーンを演出しています。スライドで弦のすれる音がキャラクターの微妙な心理状態も描いているようです。映画サントラの中では大好きな一枚。
期待を裏切らない名作です。 主人公はもちろん登場人物が不器用だったり、うまく言葉にできないような感情を持っていたり、感情を取り繕ったり、とても人間らしくて好きです。主人公は(簡単に言うと繊細で放浪癖がある人物)他の映画や小説に出てくる主人公より魅力的ではないけど、この作品の魅力はそんなことではなく彼を取り巻く人々との関係が、観ている私たちにいろいろな感情を沸かせます。ライクーダーの音楽もテキサスの砂漠と登場人物の抱く言いようのない感情によくあっていて最高です。
dvdとセットで欲しくなったので・・・ これを上回るサントラは無いんじゃないかって位 好きすぎです◎
いろいろなシーンの断片が記憶に残る映画です。主人公トラビスの奥さんの昔の映像が一瞬映るのですが、映画を通して、彼女が笑うのはその古いフィルムの中だけなんです。その笑顔が凄く印象的。その他には、店で振り返る彼女の赤い服や、晴れた日に並べられた色とりどりの靴。ライ・クーダーの音楽。そういうひとつひとつのものやシーンに対する美意識が凄く好きです。なんだか丁寧で大事に撮られたかんじが良いです。 初めてみたのは10代。とりあえず有名な映画を見ておこうという感覚で。その時は、こういうビジュアルばかりに目がいって、でもなんとなく頭の隅にずっと焼き付くといったかんじでした。そしてその断片を見たくて、何年か後に見たとき、不器用すぎる男とその愛に声をあげて泣きました!
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