プレゼントシリーズの第一巻。 プレゼントをもらえなかったために、狂った時間軸の世界を 渡り歩くことになってしまったプレゼンターのくるみちゃん。 そのくるみちゃんが見た、いろんな悲しい嬉しいプレゼント達の話です。
世界中に溢れた様々なプレゼントの顛末を描ききった 不思議でどこかゴシック的な暗さをもったお伽噺みたいな一冊です。
『悪い王様は罰を与えられ、善良な貧民は幸せがもらえる』 先生が描くのはそんな世界観なので、ちょっと恐ろしくなった童話に近いです。 怖いシーンもありますが、どこか漫画的で かわいらしくさえ感じるので子供が読んでも全然大丈夫です。
この時代にすでにツンデレ中のツンデレを見事に描ききっていた 犬木加奈子先生は凄いと思います。
「口裂け女伝説」犬木加奈子 ・・・ 現代に蘇る口裂け女
「悪夢へいらっしゃい」関よしみ ・・・ 死の夢が実現化していく
「逃げても、逃げても・・・」井口かのん ・・・ つまらない日常から逃げ出した先は
「ある朝、起きたら」谷間夢路 ・・・ カフカも仰天!変身譚
「ストレス」蕪木彩子 ・・・ストレス解消薬の悪魔の実験
「伝言板」かずはしとも ・・・・ ほんの悪戯が、思わぬ悲劇に
「人魚残影」日野日出志
どちらかというと、血が飛び散る「正統派」な作品の比重が高いかな、と。
大御所の犬木、関の作品はさすがのクオリティー。最後のオチ方が黒過ぎです。
あとは井口かのんの作品が、この作品集、そしてこの作者にしては(一応)前向きに
終わっていたのが意外でした。 ホラーでこういうのもなんですが読後感はすごく
良かったです。 かずはしともの「グリム物語」常連になる前の作品も最後のドンデン返しが
ちょっとベタだったけど上手くしめてたかな。
最後の日野日出志の作品については敢えて内容を書きませんでした。
短いながらもホラーで終わらない、美しくて哀しい余韻の残る作品です。最後のコマに
涙腺がゆるむかも。 この作品を最後に持ってきた編集の巧みさにただただ脱帽。
ホラーファン必読の作品集です。
十三日の金曜の真夜中、合わせ鏡の間にガラスの瓶を置き悪魔を捕まえよう。そして悪魔を放すことを条件に願いを叶えてもらおう。 ただしここで注意。あなたが取り引きしているのは悪魔なのです。 そのことをよ~く覚えておいて下さいね。
一編を除き、全て吸血鬼括りのアンソロジーです。
元々ホラー系の味付けが強いエロチック作品を多く描いておられる大ベテラン千之ナイフさんをはじめとして、紫川弓夜さん、ぺるそなさん、やまのべきったさん、榎本由美さん、こうたろうさんらが華麗な筆致で恐怖と官能の世界を描いておられます。
さらに御茶漬海苔さん、犬木加奈子さん、個性派の坐麿屋(ざまや)ミロさん等、ホラー漫画ファンには嬉しい作家も名を連ねています。
成年向け漫画で有名な松文館らしくかなり過激な性的描写が見られますが、元来性的な隠喩が強い吸血鬼なので、ホラー漫画系の巨匠達以上にエロチックな漫画で名を馳せた作家の方が健闘している様です。
犬木加奈子さんだけは吸血鬼とは違う題材で描いておられました。なぜでしょうか。気になります。
少々方向性を模索している感じは御座いますが、ホラー漫画ファンの方は是非ともチェックして頂きたいと思います。
プレゼントにまつわる不気味な物語が1話ごとに読みきりで読めるので飽きないで読み終わりました。1冊に7話入っています。 おもしろいだけではなく、為にもなる漫画ですね。お子様に読んで聞かせてあげるといいかもしれません。
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