かっこいい!とにかくかっこいい!ソウルジャズ好きなら押さえたい一枚。 ジャズ、ブルース、ソウル、R&B、混ぜた上で出て来た粋なグルーヴの集大成。 ジャケットがカッコいいんだ又。是非是非お薦め!
昨年、ニコール・キッドマンとショーン・ペンの共演で公開された、同名のサスペンス映画の原作です。
アフリカの動乱の国の虐殺問題を議論する国連を舞台に、過去を失った(消した)通訳の女性と、妻を失ったシークレット・サービスが、その「悲しみ」故に結びつき、「悲しみ」からの脱却を果たそうとする物語です。
サスペンスの裏に「悲しみ」を抱えた二人の人間ドラマが的確に描き出されています。
そんなに長い小説でもないし、会話文のウェイトも高いので、一気に読みきれます。
監督のシドニー・ポラックは背景に社会的情勢を絡ませた壮大なラブストーリーを撮る名手で、そのスタイルが今作でも貫かれています。国連演説中での要人暗殺となれば本部内での撮影が実現しなければリアリティある映像が撮れなかったでしょう。その貴重な映像を観るだけでも価値があります。
主演のニコール・キッドマンの透き通る様なCoolな美しさも毅然とした表情も良かったけれど、やはりショーン・ペンの素晴らしさに尽きます。ニコールを引き立てるべく安定した演技を見せており、セリフのない場面でも魅せる“目”で表現された憂いや愛情深い優しさ…この人はその場にいるだけで存在感があり、限りない感情を漂わせる事の出来る希有な俳優だ。ただ現れただけで背中に背負ったものを滲ませ、その人物の人生を感じさせる演技力には毎度ながら感動させられる。
監督はこの映画は“癒し”をテーマにしていると語っていたが、混沌とした世界情勢の中で救済を願う人々の心情を演じたニコール=シルヴィアの底無しの寂喪感や哀しみ、それを乗り越えたラストの晴れ晴れとした笑顔には確かにその意向が託されていたと思う。テーマは重いけれど心に残る映画だ。
国連を舞台にアフリカの某国の陰謀がメインのサスペンスに違いないが、同時に過去に深い心の傷を持つ男と女の物語でもあった。絶対「一線を越える」と思って観ていた私は肩透かしをくらいました。お互いの心を理解し傷口を癒し合える人間にめぐり合った心の安らぎを得るとこまでの関係だった。特にラストのショーンの表情に感動した。
何と言っても国連での映像は圧巻でした。この作品の見所の一つでしょう。問題解決には、両極端の解決策「外交」か「マシンガン」か。まさに今、国連の存在感を改めて考えるきっかけになるはずです。アナン事務総長が国連内部での撮影を許可しただけあって、その辺のメッセージは充分伝わってきた。
いつもと異なっていたのは飾り気の無いニコール・キッドマン。女の過去と男の過去が絡み合う、抑えに抑えたロマンスでしたが、実にゴージャスな物語に仕上がっていました。
本作はマンハッタンを中心に撮られた、緊迫のサスペンスアクションだ。惜しくもシドニー・ポラック監督の遺作になってしまったが、考えてみると製作のアンソニー・ミンゲラもポラック監督と同年に亡くなられた。普段はツアー以外に入館できない国連本部で撮影し(あれはセットではない)、空撮で捉えたマンハッタンの機能的美しさや「スピード」もびっくりのバス大爆発シーンなど、今までブルーレイになっていなかったのが不思議なくらいの良作である。骨太な脚本はメイキングを観ると「その日ごとに書き足していた」そうで、誰も結末がわからないTVドラマのような慌ただしさだったようだが、そこはニコールとS・ペンだ。圧倒的な芝居で魅了させてくれる。特にS・ペンはスーツ姿のマンハッタンが似合うなあ・・・。インディペンデント作品で、かつ役も独特なことが多いので、こういうまっとうなSP役は本当にカッコいい。本作はおそらくS・ポラックだから受けたのだろうが、これからも大作での刑事役などを期待したい。ニコールも最初は単なる「追われる目撃者」だと思ったら、さにあらず。未完成脚本でインしたのに、この見事な締め方はS・ポラックの最後作として最高の終わり方だった。さりげなくシルヴァーカップスタジオなども背景にしつつ(本作はここでは撮影していない)、映画好きがハマる映像力も流石だ。特典映像は今となっては「超貴重」なS・ポラック最後のディレクションが堪能できるメイキングが必見。中国人刑事役で、クライド草津が重要な役どころを演じているのも嬉しい。待望のブルーレイで再見するのが楽しみである。作品に星4つ。
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