買って、久々に聞いて、90年代の思い出が、一気に蘇ってきました。特に、CHAGE&ASKA YAH YAH YAHから一気に90年代に放送があった振り返れば奴がいるの一場面を思い出しながら、聞いていました。
篠原涼子といえば小室哲哉であり、「恋しさと せつなさと 心強さと」一発!っていうイメージもある。だけど正直言って、小室作品を語ることは面倒くさい。“自分の琴線にはまったく触れないけど、時代的、社会的には意味のあるもの”、僕の中では小室哲哉は山口百恵やおニャン子クラブに近い存在だ。
太田裕美の「赤いハイヒール」には次のような歌詞がある。
おとぎ話の人魚姫はね
死ぬまで踊る ああ赤い靴
いちどはいたらもう止まらない
誰か救けて 赤いハイヒール
松本隆は、都会に出てきた女性の心情を表現しているのだが、今この曲を聴くと「赤いハイヒール」は都会生活のメタファーであると同時に、“資本主義”を表していることに気が付く。70年代、80年代、90年代と人々はこの歌の通りに踊り続けた。小室哲哉の音楽はまさに、そうした人々のために用意されたダンス・ミュージックの進化系である。もちろん、小室哲哉が人々を踊らせた訳ではなく、“踊り続けなければ...という強迫観念を持った世間の人々”のために小室哲哉は音楽を提供していただけだ。小室哲哉の音楽には“どうせ踊り続けるのなら、せめて苦しまずに済むものを”っていうところがある。小室哲哉は、そういう意味で社会を映していたし、大衆音楽(ポピュラー音楽)の担い手だったと思う。
結局、篠原涼子は小室哲哉にとって、テリトリー外だったんだろう。小室哲哉のストイックさ、悲観主義と、篠原涼子のいい意味での鈍さ、楽観主義は相容れなかった。シノリョーにもっともマッチしてる曲は「平凡なハッピーじゃ物足りない」だと思う。この曲には、踊り続けなくちゃならないという自覚はあるものの、小室哲哉よりはずっと楽観的で前向きである。それは広瀬香美のキャラクターだろうし、その後の篠原涼子のイメージである。こっちのほうが断然しっくり来る。この歌に出てくるような女性はあっけらかんとしてて結構好きだなぁ。
率直な感想として、カヴァー曲の安定感が『01』に比べて格段に増したと思います。
そもそも系統が近い『愛しさと せつなさと 心強さと』はもちろん『アンインストール』や『Shangri-La』など、原曲がm.o.v.eのイメージからかなり離れた場所にある曲も、ほとんど違和感なく聴けました。
前作は全体的に不安定というか、統一されていない部分も多かっただけに今作もその点が大きな不安材料でしたが、どうやら杞憂と片付けて問題なさそうです。
コラボ楽曲では『Monster Explosion』『One Way Train』はyuriさん不在。時期的にやはり難しい面があったのかも。
しかしそこはm.o.v.eの盛り上げ役であるmotsuさんが如何なく存在感を発揮しているので無問題。『Monster Explosion』のテンションが異常。あまりの暑苦しさに吹きそうになりました(褒めてます)。
でも『One Way Train』はイマイチ…
曲も音の面では悪くないし、浅野さん・鷲崎さんのボーカルもすばらしいの一言でしたが、浅野さんと鷲崎さんのパートが入り乱れすぎて、両氏の声をじっくり堪能できない…ような気がします。
構成の問題でしょうね。もう少しそれぞれを引き立てられる構成だったらよりよかったと思います。
DVDはネットで途中まで公開されていた『愛しさと せつなさと 心強さと』のPVフルサイズの日本語verと英語ver。そしてリリィシーケンサーの基本的な使用方法などを収録した『午前三時のボカロ講座』が収録。
PVはアニメです。ストーリーは現状オマケ程度かも知れませんが、今後の展開如何で良くも悪くも変わるかと。
『午前三時のボカロ講座』はボカロ初心者の私としては分かりやすくて良かったです。リリィシーケンサーも結構楽しいし。
まぁ最初に見たときはmotsuさんとYAMAHAの担当者さんの掛け合いに聞き入ってマトモに見れませんでしたがw
m.o.v.e×アニソンというある種の無謀に挑戦するアルバムの第2作目ですが個人的な評価は、ある程度の方向性も固まってきていて今後の展望も期待できる良いアルバムだったと感じました。
とは言え生粋のアニソンファンの皆さんにどう受け取られるかは微妙かもですがw
あくまで『m.o.v.eの』アニソンカヴァーアルバムという点ではすばらしい出来だと思います。
『03』も楽しみ。
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