破滅型と、また無頼派と称される作家檀一雄さん。「火宅の人」は、その一面ではあるかもしれないですが、こんなにまで浪漫を追い求めた人。生あるものの側に立った人。戦前の同人誌に発表された「花筐」・「佐久の夕映え」・捕鯨船で南氷洋の捕鯨船に乗り込んだ折りの「ペンギン記」や・戦後直後の「リツ子・その愛」「リツ子・その死」などもぜひ読んで下さい。「火宅の人」読後に当事者である夫人(「檀」沢木 耕太郎著)や恵子さんの手記(檀一雄の光と影―「恵子」からの発信)に関心が集まるのは、私には悲しいことです。「火宅の人」は。確かに私小説家の最後の作品ですが・・・。前妻の闘病と檀さんの必死の献身的な看護、長男太郎さんとの父子の会話など私は何より思い入れがある名作「リツ子・その愛」「リツ子・その死」が、いまだに文庫本でさえ絶版です。USEDでは手に入りますし、檀さんをより深く知りたい方にお勧めします!
30年以上も前にこんなにいろんな食材を召し上がっていたとは。
好きなものは好き、うまいものはうまいということでしょうか。
気取らない書き口が心地いい。
いくつか作ってみましたが、勘所が巧みに記されていて、自分好みに工夫する余地があって楽しい。
分量が細かく記されたレシピ本ではないので何度か試行錯誤することは必要かも。
原作は著名な檀一雄の「火宅の人」。家庭を持ちながらも、様々な女性との情事。流浪のように流れ流れ流れる旅。しかし、原作のトーンとも通低するのが、暗く、憂鬱にならず、あっけらかんと明るいところが本作の特徴。普通これだけ問題があれば、家庭なんてめちゃめちゃなんだけど、すべての人間の真剣な切なさを持ちつつも、前向きに生きる明るさはとても良い。脚本・演技・演出の完成度も高く、かなり面白い。主演の緒形拳は放蕩しつつも憎めない「壇一雄」をはつらつと演じていてとても好感。監督は、あの「深作欣二byバトルロワイヤル」さんです。邦画って捨てたものじゃないです。
なんとも心に残る味わい深いエッセイだ。
特に著者の故郷である九州柳川のセピア色の思い出に出て来る、
二人姉妹の話(その姉への恋慕)は秀逸です。
この冒頭の話だけでも値打ちがある。
日経という新聞は「私の履歴書」という、時には次の日が来るのが待ち遠しくなることもある(そうでもないことが最近は多いが)名物コーナーをもっているが、この瀬戸道寂聴の連載は会心のヒットだった。この連載を読むだけでも新聞代を払う価値はあった。継続は力。長く生きていないと見えてこないもの、書けないものもある。
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