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グッバイ・イエロー・ブリック・ロード・～エルトン・ジョン・グレイテスト・ヒッツ

このベストアルバムのタイトルになっている「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」こそ、「ユア・ソング」以上にエルトンらしさを最も際立たせた最高傑作で、彼の全作品の中で一番好きな曲だ。あるシンガーソングライターが、「最高の歌詞と最高のメロディの結婚、これが名曲の条件だ」と言ったが、加えてその曲に合った最高の歌唱、最高の演奏が全て合体して調和したのが正にこの曲だ。メロディは言わずもがな、歌詞も日本語対訳を見れば、哀愁に溢れながらも、夢に向かって力強く、現実社会を蹴飛ばして自分の好きな田舎でしたたかに生きて行くんだという意気込みが感じられ、自分などは今の日本(2010年)と重ね合わせて感慨深く聴き入ってしまう。そして極めつけはエルトンの歌唱とピアノだ。サビの部分で力んで唸るようにシャウトする所がある(hunting the horny back toad の「hunting」と「horny」の頭のアクセント)が、ロックではなく、バラードでのこうした魂を揺さぶられるようなシャウトは自分にとってエルトンの歌唱の最も個性的で魅力的な要素であり、他に「僕を救ったプリマドンナ」や「幼き恋の日々」、亡きジョン・レノンに捧げた名バラード「エンプティー・ガーデン」のやはりサビの一部で聴くことができる。最後にエルトンと言えばピアノ、叩きつけたり弾むようなロックのテクニカルな演奏も卓越しているが、この「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」での一節ごとに歌を追いかけてくるようなゆったりとした弾き方も素晴らしい。
かくしてこの曲とギルバート・オサリバンの「アローン・アゲイン」は、私にとって忘れられない名曲中の名曲となった。