社長物語
起業とか、経営とか、社長とか…一度は考え、でもトライに怯んだタイプのせいか、そこそこの臨場感を感じつつも高みの見物といった読み方ができ、最後はいい熱気に包まれて頁を閉じた也。
随所に傍線も引きたくなる、ビジネス書でもありました。
ところで、渦中にあるモノホンの社長さんはどんな読み方、感じ方ができるものか。興味のあるところです。
ゆきをんな
行き当たりばったりで借りた本だがかなり満足度が高い。
自分が冬生まれのせいだろうか、寒いところの話は暑いところのそれより断然好きだ。そういう私も雪女なのだろうか・・・。
雪と愛に包まれた、とてもステキなお話でした。
享保のロンリー・エレファント
はるばる連れて来られたのに、飢饉の影響もありどうにも居場所のない「享保の像」を軸に様々な人物の人生が描かれる。
(この像は実在し、図画を国立国会図書館のHPで閲覧可能)
暴れん坊将軍として有名な8代将軍徳川吉宗と、9代家重の、父と子の葛藤と和解の場面が良かった。
最後に大団円があるのも親切で好き。
ただ薄井ゆうじらしいファンタジックな世界観で語られる江戸時代であり、重厚な歴史小説を好む人にはそぐわないと思う。
ファンタジー好きで、ハッピーエンドを求める人にはお勧め。
樹の上の草魚 (講談社文庫)
「ペニスのことなんて誰に相談すればいいんだ?」って見出しは嫌いですが、男の子から女の子に心と体が変わっていく主人公の繊細な心、戸惑い、葛藤と主人公をとりまく人々の心がなんて美しいんでしょう?と感じました。私は性同一性障害者で今は女性ですが戸籍は男性です。誰にも自分が女と言えず自分を男と洗脳してた時代があり、最初は男と自覚していた主人公とはまったく違うのですが、部分、部分で共感できる部分もありました。世の中、性欲を絡めた同じような本はあるのですが、この本はまったく別ですね。たくさんの人が読んでほしいと思っています。そして続編とか主人公以外の視点から見たストーリーというのも読んでみたいとも感じました。
幽霊船―異形コレクション (光文社文庫)
今回のテーマは幽霊船だったので、結構似たりよったりの話になるかなぁと思っていたらば大間違いでした。
ひとえに幽霊船と思いきや、人魚は出てくる、渡し舟、半魚人、飛行船、挙句は宇宙船までとバラエティーに富んでいて読み応えありました。
しかしいつも思うのが監修者の手腕。物語の順番は絶妙としか言えません。