家族シネマ [DVD]
映画の中で、映画を撮っているという構成だが、その映画の撮り方も半ドキュメンタリー的なため、
虚虚実実の判断がなかなかややこしい。そして、それこそがこの映画の狙いでありトリックだと思う。
つまり、家族という集合体が本来、虚構に満ちているのではないかということを、見ている我々は感じざるを得ない。
諦めにも近いニヒルでシニカルな笑いが、この映画を見ている者を襲うことだろう。
なんだかんだで家族再生をテーマにする映画が多い中、ここまで現実主義に徹した映画という意味でとても評価できると思う。
お父さんは、普段の時の喋りまで、やたら畏まった感じなのは、わざとなのか。
どこからがリアルで、どこからがパフォーマンスであるのか、
ここのラインが全く判断がつかないため、ますます父を魅力的にしていた。
あそこまで浮いていて、逆に味になるっていうのも、この映画のテーマが家族集団の混沌を描いているからだと思う。どこまでも出口はない。
尹東柱 詩集 (ユン・ドンジュ 詩集) [朗読CD]
CDよりも本(勿論、日本語訳ですが)の方がイメージが膨らみます。ハングル読みは、ハングルのできない私にとって仕方ないことですが、これも、ハングルができてこそ聞き取れる、ユン・ドンジュの世界だと思いました。2月16日が彼の命日で、韓国、そして彼の生まれ故郷の中国東北部朝鮮族、日本の彼に関係した所では、記念行事が開かれたことでしょう。
写真からみえるユン・ドンジュは優しく繊細な感じ、有名な『序詩』に確固たる信念を貫く人のイメージも見ているうちに理解できます。いい詩ばかりです。
BREATH
中高生の頃よく聴いていた渡辺美里さん。2作目のアルバムです。Born to skip、Richじゃなくても、Here comes the sun〜Beatlesに会えなかった、Pajama Timeなんかが好きです。中期や後期と比べてもキラキラした曲が多く、美里さんの若い歌声が堪能できます。作家人が豪華、そしてそれを歌いこなす実力は今聴いてもまぶしい。昔カセットを何度も聴いたのを思い出し、当時の思い出が蘇ります。
ピョンヤンの夏休み――わたしが見た「北朝鮮」
今年2012年は金日成主席生誕100年だとのことだが、今まで朝鮮旅行に興味はあっても「旅行の実態がよくわからなくてちょっと不安・・・」と躊躇していた旅行ファンはこれを読むと朝鮮旅行のだいたいの雰囲気がわかるだろう。また、在日の読者にとっては、祖国訪問旅行を予行演習できる。著者の内面的な情感が多く綴られているので、その情感と相性が合わない読者は著者の主観の部分はさらっと読み流して朝鮮旅行見聞録として読むだけでも十分楽しめる。著者の主観に100%同意はしかねるが、著者が朝鮮旅行で見聞した物事をもとに自身の内的世界を耕してゆく様子は、琴線に触れるような非常に深い何かを感じさせる。