頚城鉄道 (RM LIBRARY (77))
ほくほく線の特急はくたかが高速で走り抜ける高架橋の下にかつて豪雪と戦い続けた軽便鉄道があった。現在新潟県上越市でバス事業を行っている頚城自動車の前身「頚城鉄道」である。
本書は同鉄道の歴史に始まり(その路線が集客が見込める集落を通っていないのは入手しやすい土地に地元有力者が趣味的に鉄道を建設したからでは?という解釈は面白い。)、挫折した信越本線オーバークロス&直江津市街乗入れ計画、また末期に同鉄道に通い詰めた著者の写真・体験談(雪にはまった列車を救出するために、全機関車が集合!)などを紹介する。その模型的で家族経営的なミニ鉄道の様子はとても興味深い。
同鉄道を紹介する本で、現在これほどの低価格でしかも入手しやすい本は他に見当たらない。軽便鉄道、ローカル私鉄ファンにお勧めする。
町屋と人形さまの町おこし―地域活性化成功の秘訣
ふとしたきっかけで始まった活動が、本人の信念と熱意で次々に周りの人達を巻き込み、やがて大きな成果を挙げていく様が見事に描かれています。新しいプロジェクトを始めるときには、志を同じくする少数の仲間だけで始める、労力/責任を厭わない、行政を頼らず、お金をかけずにできる限りのことをする、というこの本の主人公達の取り組みは素晴らしいと思います。今は日本全体が元気をなくしていますが、この本は単なる町おこしだけでなく、企業の内側からの活性化にも使えると思います。以前に友人と連れ立って村上の人形さま巡り、屏風祭りをそれぞれ見に行きましたが、町に人たちの人情に触れた素晴らしい旅となりました。その裏に、この本に書かれているような苦労と感動の物語があったとは驚きです。
大宮様と妃殿下のお手紙
貞明皇后と高松宮妃間の手紙のやり取りだけでなく、妃ー妃の妹(著者)間の手紙も紹介されています。嫁姑であり、近隣に住んでいるにもかかわらず、手紙の多さと親密さに驚きました。昭和後半生まれの私には、想像もつかない親戚づきあいです。うっとうしくならないのかしら、とつい思ってしまいました。とはいえ、お互いを気遣ういい仲だったのだなとじゅうぶん察することができます。
皇族になったら、実家とは一切かかわりを持たない(縁を切らされる)と思っていましたがそうではないようですね。高松宮妃は、実家に残した母や弟妹を気遣う手紙を残していますし、高松宮邸に招いてもいるようです。手紙や写真から、皇族・華族の親戚づきあいや当時の服装が見て取れます。手紙の字は、なにが書かれているかほとんどわからず、古文書としか思えません。著者との年齢差を感じてしまいました。だからこそ、著者が思い出の中の人々のこと、なつかしい時代を伝えたかったのだと思います。
少々気になったことは、誰から誰宛の手紙かわからないものがあったこと。読み進めば判明しますが、一見してわかるようにしたほうがいいとお思います。もう一点、年代表記には全て西暦を併記してほしいです。
山古志・東竹沢地区の復興研究 (ヴィジョンズ・オブ・アーキテクチャー―山下研究室長岡造形大学)
この本は私が大好きな本です。
まず中身は緻密に設計された図面と綺麗なパースと面白いプロジェクトがいっぱい載っています。
建築をやる学生なら一冊は持っていても良いくらいです。
表紙は学生が描いたパースを載せている、そして表紙はとても美しいです。
私はこの本に会えて良かったです。