大学受験のための小説講義 (ちくま新書)
受験の頃をはるかに過ぎて読んだが、内容を読んで「そうだったのか!」と膝を打ってしまった。
・小説を読むこととは、「書かれていないこと」を「読む」行為である。
・すべての小説は「○○が○○する物語」「○○が○○になる物語」として読むことが可能 であり、そこから本格的な「読み」の冒険が始まる。
・物語と小説とは、根本的に違う。
以上のようなポイントが具体的かつ丁寧に説明されていて、これから自分も「小説が読めるようになってやる!」というモチベーションを高めてくれる。
要は、対象に対して主体的に深くかかわっていこうとする姿勢が大事なのだ。
受験国語だけでなく、人生全般においても通じる教訓かもしれない。
シュガー&スパイス 風味絶佳 [DVD]
男子の初恋だけを描いた作品だったならば文句無しに☆5つ。 しかし全体を見たときに華美な装飾を纏い過ぎた作品、洗練された感の無い作品に私は感じた。 グランマやガススタンドの登場人物、その他セット達がそう感じさせているに違いない。 「ただ、君を愛してる」の様にシンプルで王道、型にはまった典型的な作風が好きな私にとって、グランマは痛々しい存在だった。 後に主人公の感情が爆発するシーンに必要な演出なのだが、存在感が有りすぎてバランスが悪いのでは? 主人公の感情の浮き沈み、初恋から失恋、ただ彼女を信じ待ち続けて終わる恋。 信じて待ち続けるしかできない。 というモノローグが胸に突き刺さり痛かった。 当時の自分を思い出した。 男子の初恋、優しいだけの男を描けている点だけに評価した☆3つ。
United Flow
一緒に口ずさんでいると苦しくなってくる位せつなくていい曲ばかりです!!私も発売した事を知らなくてパッケージの写真を見て若い頃の!?と思ってました。本当にあんまり宣伝されていないのがもったいないです。すごくいいです。
佐野洋子〈追悼総特集〉100万回だってよみがえる (文藝別冊)
保育所に通う子のために「100万回生きたねこ」を読んであげたとき佐野洋子さんのことをはじめて知りました。絵本というけど、長編小説よりすごい!。こんなにもうまく人に心に届くように書けるのかと驚きました。
それ以来注意してみていると世間では「100万回生きたねこ」は大人でも男女を問わず読まれてきたことがわかりました。この本にでも出ていますが、184万部も売れたらしいです。
この文藝別冊・追悼総特集号は佐野さんがどういう人だったかを非常に詳しくおしえてくれます。元夫である谷川俊太郎と息子さんの広瀬弦さんの対談があったり、佐野さんが好きだった山田詠美さんとの対談も再録されています。
佐野洋子さんを思い出したい人、どういう人だったかを知りたい人は残らず手にとってみて欲しい。
ジェントルマン
やはり山田詠美の文章は心地よい。恋愛ものだとさらに表現が際立つと思う。比喩が秀逸。あらすじはゲイの主人公と異性愛者である完璧な男の長年に渡る歪んだ共存関係とその末路を辿るもので、ラストとプロローグが綺麗に結実するのがいい。やはり結び方が巧い作家だと思う。また、ただ記号的な社会の異端としてのゲイではなく、世俗的イメージのゲイと、一人間の個性としてのゲイが融合された主人公「夢生」のキャラクターはなかなか興味深く、空白の時期のエピソード等も読みたくなるような人物だった。