ジャングル大帝(1) (手塚治虫漫画全集 (1))
この作品が、手塚先生の傑作、名著であることには今更、異論などでる筈がないでしょう。
只、この作品を相互扶助の精神が一貫していることには、思いがけず賛嘆の吐息が洩れます。
手塚先生が、ピョートル・クロポトキンの書籍に目を通していたかは推し測りかねますが、ジャングル大帝の根底に流れているのは、クロポトキンの相互扶助論のそれに他なりません。
ジャングル大帝 1 漫画少年版 普及版
「豪華限定版」の廉価普及版。
その豪華版が定価7980円とちょっと高価だったのに比べ、
豪華版にオマケで付いていた複製原画なんていらないよ、
という人ならば、こちらの方がおすすめ。
この普及版は、豪華版に比べてサイズが一回り小さくなり、
またハードカバーからソフトカバーに変更になっている。
このサイズと体裁の違いをどう見るかだが、持ちやすく
手軽に読めるようになった分、手元に置いておくには
むしろこちらの方がいいと思う。
この「漫画少年版・ジャングル大帝」については、「豪華版」の方の
ページで多くの方がレビューを書いていて、そこで詳しく
触れられているので、要点だけにとどめるが、
これまでファンクラブでの復刻を除けば、約60年もの間
日の目を見ることがなかった(描き直される前の)
オリジナル連載版の「ジャングル大帝」。
美しい独特なカラー・ページはもちろんのこと、
吹き出しやト書きの手書きの文字も、丁寧な画像補正によって、
キレイに再現されている。
これまで長い間一般的に出回っていた手塚の「ジャングル大帝」との
比較をするための研究書、ということでの購入は
もちろんのこと、元来、手塚の最高級のエンターテインメント作品なので、
「読んで楽しむ」という点で申し分のない本なのでは
ないだろうか。
こういう代表作は手軽に読めることが大事だと思う。
ジャングル大帝 ~勇気が未来をかえる~ 通常版 [DVD]
手塚治虫の生誕80周年記念で放送されたアニメ。
原作は未読だが、ジャングル大帝の主人公レオがまだ子供の状態で
父や母から自立する時期を題材にしたオリジナルストーリー。
人工的に作られた「ネオジャングル」と呼ばれる島で
本物のジャングルと同様に動物たちが暮らしている中、
自然や動物を支配しようとする人間側と
多少の不安定があろうともより自然な生活を求める動物側との衝突が起きる。
映画「ジュラシックパーク」と同じような設定の人工世界で
よくあるような人間のエゴや自然の大切さを訴える王道パターンだが、
絵は非常に美しいし、見やすい内容なので子供にもぴったりだろう。