バートン映画の中でも、多分、最もバートンがやりたい事を90%がた、実現した 映画だと思います。 前作「アリス」で大ヒットしたものの、裏話を見るとかなり 妥協しつつの制作だったらしい事が伺え、 おそらくその分、今回はとことんやりたい事にのめり込んだ。 のだと思います。
その分、賛否が分かれる事は承知の上だったろうと思いますが、 ここで実現しているあまりに濃厚な映画表現は、 間違いなく21世紀映画の中でも最上のものでしょう。
あらゆる場面が、緊張感と虚脱感を交錯させて、 まじめともふざけているともつかない、この世の定義不可能な時空を ここまで映画が表した例はあまりないでしょう。
そもそもブラックコメディも歴史的には、そうした視点が欠かせませんが、 その事を自覚しながらも バートンは何か自分の視点が見据えていたものを今回は とことん追求した、という印象でした。
もちろんそこにはエバ・グリーンが体現するアメリカ的欲望に対する 時代を超えた鋭い視線をデップ等家族に託してもいます。
その点では傑作「バットマン・リターンズ」の延長上にあるものにも 思えました。
面白いかどうかなんて事は多分、もうどうでも良い、 とりあえずクライマックスらしいものをつけておけば 後は何をしても許してください。
と言わんばかりの、そんなバートンのこだわりがそのクライマックスの10%を除いた すべてに感じられる、アメリカ映画史上の、とてつもない映画。 です。
「原作の雰囲気ぶち壊し」 「原作の雰囲気をよく表している」 と意見が真っ二つで、原作も旧訳も読んだことがない人はどちらだろうと首をかしげるだろうから、 参考までに、英米(つまりダールの原文を読んだ人々)の評価について書いてみる。
ダールの伝記によると、彼の子供向けの作品が 「こんなもの(『チャーリー』含む)暴力的で残虐でとても子供に読ませられるものじゃない」 と批判を受けたとき、ダールは 「私の作品が子供向けではないというなんてどういう神経しているんだ。私は毎晩自分の物語を子供たちに読んで聞かせているし、子供たちも楽しんでいる」 と怒りのコメントを出している。(言葉は正確ではないが、概ねこのような内容) どうも作者の存命中から彼の児童作品には賛否両論あったらしい。
興味深いのは、Amazonのイギリス・アメリカにおけるブックレビューで、イギリスでは最低評価が★3であるのに対し、アメリカでは少ないながら★1がついている。 イギリスの方がブラックジョークに耐性があるのだろうか? ダールの大ファンでなければぜひamazon.comの原文を見てもらいたいのだが、 「残酷すぎて読むのをやめた」 「子供のとき読んだら怖くて悪夢にうなされた」 「(子どもの本といっても)子供のための本ではなく、子供について書いただけの本」 「読んではいけない」 「ダールはサディスト野郎」 という意見が見られる。 もちろん、★1には「つまらなくて読むに耐えない」といった意見もある。 「子供のとき学校で読むことを強制され、仕方なく読んだけどつまらなくて嫌いになった」という意見もあるので、児童書と認識されてはいるようだ。
この翻訳に対しても「こんな訳じゃとても子供には読ませられない」という批判が続出しているのはご覧のとおりだが、「ブラック・残虐すぎて読ませられない」という意見を多少なりとももたれるのが、案外それが原文に沿った受容のされ方なのかもしれない。
「毒」を子供向けにどこまで抜くか、そもそも抜くべきかは文化の違いもあり難しい問題だと思う。 日本の方がイギリスよりブラックジョークの受容度が低いとなると、それ相応に下げないと読んでもらえない危険もあるし、原作の「毒」を故意に取り去ってしまうことは、作者の意見を尊重しないことになってしまう。
なお、名前の翻訳に関しては、逆に旧訳が日本語に訳したもので新訳がカタカナのままだと批判が出る場合もあるので、慣れの問題が大きいのではないかと思う。 (具体的に言うと『ホビット』の「つらぬき丸」対「スティング」)
確かどこかの翻訳家が「翻訳家は無色透明の存在でなければいけない(作者の言葉をなるべくその通り伝える媒体となるべき、ということ)」と言っていたような気がするが、そういう意味では新訳も旧訳も良かれ悪しかれ翻訳家のカラーが出すぎということになるので、第3の翻訳を見てさらに比較検討したいところなのだが、翻訳権などもあって難しいのかな。 「新訳を出すのは『旧訳が古びたから』ではなく『自分のこだわりを表現するため』、原作のニュアンスが先行訳に再現されていないと思うから出すのである」と発言する翻訳家もいるので、将来「この翻訳を読んだら自分が原作を読んで感じたのと全然違うので自分で新しく翻訳した」という人が出てくるかもしれない。
クラッシュのドキュメンタリーものでここまで感動、泣けた作品はない! 人生に迷ったり、考えたいときに何度でも見て、再確認させられます。 一生大切にしていきたいです。 子供時代のジョーは必見!すごくかわいいです。
ジョニー・デップ主演の映画の原作になった作品です。ロアルド・ダールという人の作品です。子供向けの童話的作品ですが、ややブラックな残酷な面もあり、かなり深い内容でもあり、大人も充分楽しめますし、深く考えさせられるところがあります。チャーリーは、大人子供といった感もあり、アダルト・チャイルドの象徴のようでもあります。チョコレート工場も、非人間的なところもあり、何やら不気味で、象徴的です。映画と一緒に原作を味わいたいものです。基本的に子供向けの本なので、英語も比較的わかりやすいと思います。英語学習初級者にも良いでしょう。挿絵も豊富で、いい雰囲気を出しています。巻末の注釈も便利です。
昔の映画のコンピレーションアルバムが多い中で、ちょっと他にみたことがないセレクトで若い人にもとても楽しめる作品だと思います。感動系の映画が好きな人にはたまらない作品だと思います。
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