不倫、友人、知人、社内の同僚、上司と部下。 どうしようもないと自覚しながらも、男に振りまわされてしまう女性達を描いている恋愛小説。 それぞれの居場所で、「結婚」の二文字にとらわれて執着しながら生活している女性たち。 そんな彼女たちの生き方と、複雑な心理を克明に描いてあります。
46歳の澄礼は11歳年下の男と恋仲になる。 相手の中に過去の自分の姿を見たとき、思いは別れの形へと向かってしまう。 「心のこりがあってはいけない」と自分に言い聞かせながら、離れていく澄礼の悲しさ、そこから見出した癒しについて書かれた恋愛小説。 誰の胸にもある、やり残した過去への複雑な感情をうまく描いています。 ほか、中篇2作が収載されています。
物語は独身男女の風変わりな一日と、微妙に心情を描いた作品。42歳の利里子は母方の祖母が残した家に一人で移り住むこととなり、その修繕をした同じ歳の鉄治と知り合った。修繕をした大工仲間4人とは家の改築と補修のための2ヶ月を家族のように過ごし、その後も2週間ぐらいの割合で鉄治は仕事帰りに利里子のところへ立ち寄り、玄関先だけの訪問を続けていた。その鉄治からドライブの誘いを受けた利里子だったが、ドライブの目的は以前利里子が仕事が一段落した日に棚を作ってもらうために立ち寄った鉄治の同僚と魔が差して寝てしまったことを問いただすためだった。そのことを問い詰められる利里子、そして離婚した妻との子供が結婚するという鉄治が、ドライブの中で互いの悩みや過去を見つめあい、お互いの気持ちを確認する物語。僅か1日の出来事を長編小説にしていますが、その1日の間に利里子はかつて愛し合った男と再会し、鉄治は連れて行く予定でなかった利里子を実家へ連れて行き、子供の結婚問題にまで巻き込んで……と、それぞれの問題が一気に押し寄せてくる。ラストにはそれまで気が付かなかった互いの想いを知ることとなるのですが、42歳の男女の過去と恋愛を愛犬を交えながら、清々しく描いた爽やかな作品となっています。
女子校的なノリがあるんだけど、
最後の章に出てくる初老の男性が作品の雰囲気を大きく変えます。
料理もアイロンも家事はなんでもこなし聞き上手。
一緒にいて疲れない大人の男。
それぞれ男の好みはまったく違い、
その点では争わずにすんできた4人だけど、
深刻にはならずとも
「この人にプロポーズされたら考えてもいいかなぁ」とみんなが淡く思ってる。
年齢も生き方もバラバラな4人なのに
最終的に求めたくなるのは
やっぱりこういう男性って所に面白さを感じました。
私も女だからわかりますよ、この気持ち・・・。
女同士ってそれぞれの欠点を見つけることで己を反省したり、
競い合ったりすることによって「いい女」になっていくものなんですね。
年齢を超えた友情関係もうらやましく、
「女同士」がとても気持ちのいい作品でした。
私は最後の一編が、特に印象に残った。 主人公の気持ちの揺れが、すごく良くわかる。 期待しながら好きな人を待つ気持ちや、一瞬にして裏切られ、青ざめる気持ち・・・。 精神的な危うさが書かれた2編も印象的。 たった数十ページのストーリーなのに、ふっと考えさせてくれるものがある。 あぁ、そんな風にして人は、殺人者になってしまうのかもしれないな・・・。とか。 非常に手軽に読める短いストーリーなので、”読書は苦手”と言う人にもお勧めです。
|