単純に【松山ケンイチ】目当てで買いました。
内容は、彼の2005〜2007に携わった作品の監督の言葉や写真の数々、犬童一心監督との対談やらと、予想以上の濃いものでした。
あと、彼が芸能界に入るきっかけとなった貴重なオーデションの写真も掲載されています。
ただ、彼のインタビューがとても短かったのが残念でした。
【松山ケンイチ】の他に、国内・国外の素晴らしい俳優・監督達のインタビューや、話題の映画作品なども沢山掲載されています。自分の知り得なかった俳優・作品を知る良いきっかけとなる雑誌だと思いました。
はじめ、私はこの映画に対して『武士の家計簿』というタイトルから『今まで刀を振るっていた武士の男が、家計の一大事に依り、一転そろばんを手に家庭を支える』
そんな話なのだと思っていた。
当時では、武士が刀を捨てる事は、周りからの反応も半端無いんだろうなー・・・と、全体的に波乱万丈な人生を描いた映画なのかなー?と想像していたが、だいぶ違ったようだ。
堺雅人演じる主人公『猪山 直之』は元々、藩お抱えの《御算用者(新撰組とかで言う所の勘定方みたいなもの)》で初めから、代々そういった頭仕事で家庭を支えて居た家系らしく、私の想像して居た様な展開は無かった。
また、家計が火の車状態になった事に依る奇抜な節約術が、何個も飛び出す事にも期待していたが、そういった感も無かった。勿論、冠婚葬祭のようなイベントシーンには多少頭をひねった演出も見られたが思っていたほどの内容ではなく、多少がっかりした部分もある。
そうなると、今作の見所は一体何なのか?それは恐らく『刀以外を使って家族を支える事を軸に描いた人間関係』なのだと思う。
全体的なつくりは主人公猪山の結婚にはじまり、子供の誕生、更にはその子供に代々の勘定術を教え込む所と、彼の人生全体を描いた作りとなっている。
その中でも重要視されているのが『直之と、息子成之(幼名・直吉)』の親子関係。
子供のうちこそ、一族全体から可愛がられていた長男・直吉だが、早いうちからの教育という直之の方針に基づき、年端もいかぬうちからの『そろばん指導』が始まる。
そして、その指導は時として周りから見ても非情に映る位の厳しさで行われ、息子・直吉も親族の葬儀の際にも無情にも(子供の目にはそう映ったのだろう)香典や費用処理をしている父の姿等を眼にし、反感を覚えていく。
こういった、親が子供へと伝えて行きたいと思うべき事と、子供心に不条理に感じてしまう世界の有り様をもとに親子関係を描いていた。
なので、物語中盤からは、あまり微笑ましい家族だんらんは描かれず、兎にも角にも節約・教育という直之の信条に依る、どこか重いストーリーが展開される事に。
鑑賞前に拝見していたCMなどからは想像もつかないまじめな話だったので、途中からは呆気にとられて見て居た気がするw
しかし、そうした厳しき教育も、幕末の日本・力から知が時代を動かしていく様に変化する中で直之のとった英才教育が功を成す事になり、全体的には『ああ、よかった・・・』と思わずほっとできる内容となっている。
因みに、息子・成之は物語の終盤も終盤まで、頑なに父の『そろばん侍』たる姿を嫌い、刀をとって戦う事こそ武士の有り方として新政府(薩長)との戦争に赴く訳だが・・・そこで何故、いままで父から受けた英才教育が意味を持つ事になるのか?
そこは是非、皆さんの目で確認してほしい。『ああ、なるほど』と思えるはずだ。
総評として
・ストーリー自体に大きな事件や、凄惨なシーンは無く、あくまで『猪山直之』という一介の武士の人生を描いたストーリーになっている。その為、普通のチャンバラ劇が好きな人は、多分NG。ヒューマンドラマを目当てにみたいのであれば、是非手にとって見て欲しい作品だ。
・全体的に『直之が冷徹に英才教育を叩き込む』ような描写で描かれている感が有り、人に依っては、古い人間関係や教育の在り方に嫌悪する人も居るかもしれないが、本来教育とはこういった物なのでは?と再確認できるドラマ。最終的にそれが役に立って身を立てる事が出来た息子の姿からも、それが伺える。
・出演俳優、女優陣は無難に豪華で、演技が下手だったりと言う事は、あまつさえ無いので、安定して視聴に専念できる。また、上記に述べた様に過激シーンや性描写もないので、子供から大人まで安心して視聴可能。
こんな所だろうか?
私がこの映画を鑑賞して思ったのは一つ。
『あれ?今この映画見てる最年少って俺じゃね?』
という事。鑑賞当時、映画館で同じ時間に武士の家計簿を見て居た人たちの中では、明らかに私は場違いだったように思える・・w
現状私は20代前半な訳だが、周りは皆おじいさん・おばあさんばかりだった。恐らく周りの人たちはこう思った事だろう。
『あら?何かピアス付けた若い子がみてるわよ?』
私の感性がよほど爺くさかったという事だろうか・・・・・・・?
まぁ、何にせよ、安定のクオリティで、無理な解釈や表現も無く、面白い映画だと言える。
エンターテイメント性を求めるには、若干足りない感も有るが、改めて人間関係や教育と言った難しい事を考えるには良い機会かもしれない。
さすがに学生ともなると、途中で飽きてしまうかもしれないが、気になったのならば手にとって見て欲しい。
最後には、思わずホッとできるエンディングを見る事が出来るだろう。
日本の代表的な映画雑誌「キネマ旬報」ではシリーズ企画として「黒澤明から受け継ぐ」を連載してきた。
今号では現在衣装担当ととして活躍している、黒澤明の長女・黒澤和子さんが父・黒澤明から、何を学び、何を受け継いだかを語っておられる。娘から観た黒澤明監督の公私にわたるエピソードが多く紹介されており、たいへん興味深かった。
ちなみに、このシリーズは1月上旬号の野上照代さんの巻をもって終了した。
その他のシリーズ掲載号は以下の通り
第1回 小泉尭史 09年10月下旬号
第2回 大林宣彦 09年11月下旬号
第3回 木村大作 09年12月下旬号
第4回 佐藤順弥 10年1月下旬号
第5回 出目昌伸[前編] 10年4月下旬号
出目昌伸[後編] 10年5月上旬号
作曲は野力奏一と佐橋俊彦が担当。編曲は全て佐橋俊彦です。 野力氏の作曲分の方が若干(結構?)多いです。 特に派手な音楽はなく、サックスとピアノ等によるスローテンポの落ち着いたジャズ等の音楽が多くお気に入りです。
03年に出た「森田芳光組」が大変な名著だっただけに、内容のかぶりが気になりましたが、実際手にとって読んでみると、亡くなった後にとられた関係者へのインタビューがメインとなる読み応えと愛につまった一冊でした。 特に小林薫、仲村トオル、三田佳子、豊川悦司、堺雅人が語るエピソードには”へ〜、そんなことがあったのか!”と森田ファンであっても初めて聞かされる内容であったと思います。 あと「森田芳光組」では不明であった「阿修羅のごとく」で八千草薫がボソッと言った例の一言は、ここで深津絵里によって明らかにされています。
内容的に素晴らしかっただけに、巻末でのどこか冷めた目線の野村×尾形対談がものすごく薄っぺらいものに感じたのが唯一の残念。
最後に、サウスバウンドの現場で撮られた森田監督と角川歴彦のまるで子供みたいな満面の笑顔のツーショット写真になぜか涙あふれ出てきました。。。
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