「反戦映画です!」といった肩肘はった処は全く無いのに痛烈な皮肉とシュールな映像表現で映画史上に類をみない傑作となった作品。 「キャッチ22」と「未来世紀ブラジル」を合体させた雰囲気、もしくはティム・オブライエンの「カツィアトを追跡して」の第2次世界大戦版(時系列的にはティム・オブライエンの方が本作の影響を受けたと考えるべきなのですが)といった感じです。 リチャード・レスター監督は「スーパーマン」シリーズなどでもモノスゴイ悪ノリを見せていますが「月ロケットワイン号」「Bed sitting room」など60年代には恐ろしくシュールなSF作品を制作していて、むしろ監督の脳みその中ではこういうシニカルなモノのほうが、多くを占めているのではないかと思える。
音源の一部は以前から聞いていましたが、映像を見るのははじめて。
急遽の出演で、リハーサル不足は否めないが、ビートルズ時代からのフェイッバリット、”Money”、そして、アイドルバンド「ビートルズ」への不満をぶつけた”Yer blues"の2曲は最高なんではないでしょうか。
ただし、僕の聞いていた”Yer blues"はヨーコの声がカットされており、この映像を見て、あらためてどのようなパフォーマンスかを知ることができました。
この映像を見て思うことは、エリック・クラプトンの立ち位置。
当日の朝、出演を渋るジョンを説得し、ステージに立たせたのは、エリックだといいます。
映像を見ると、時折戸惑ったような、空虚な表情を見せるジョンに対し、エリックは、なにかに挑みかかるかののようにギターをかきむしっています。
おそらく、エリックはミュージシャンとしてのフラストレーションを、この演奏に叩きつけているように感じます。
ラストのヨーコのパフォーマンスにおいては、ギターをハウらせ、フィードバックさせながら、我を忘れてギターをひっかきまわしています。
エリック・クラプトンが、この後もプラスティックオノバンドとして、レコーディングに参加していることを考えると、彼がいかに、ジョン・ヨーコのプロジェクトに執心していかが、伺えます。
賛否はともかく、一度は観てみたい映像ではあります。
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