「こんなギョーザが存在するなんて。このギョーザは脳を破壊する」「ははっ、はははは。」なドロヘドロ16巻。料理マンガではなくバトルマンガなのだが。
相変わらず毎回のように人が死んでいくが全然重苦しくない。ドロヘドロの世界では『死』というものがそれほど重要ではないし、巷によくある『人の命の重み』についてクソ真面目に語るようなマンガではないのだ。
単行本がちょっと高いので買うのに躊躇するが、元ジャンプっ子や退廃的な世界観が好きでユーモアの分かる人にはオススメ出来る。
ドロヘドロは全巻コンプ。 原作はプレイ済み、未クリア。 絶版で手に入らなかった作品の、待望の復刻版。 買う条件が揃っていたので、買ってしまいました。
全二巻なので、あえて上下巻と呼びますが、上巻は買いです。 下巻はファンでもやや厳しい内容かもしれません。 カオス過ぎて何が何だか良くわかりません。 でも絵や表現は癖になる。迷う。
ぐらいなら、やっぱり買ってしまった方が良いかもしれません。
新規開拓者の方はスルーが無難。
様々な伏線が、完全にではないでしょうが回収されます。
カイマン(会川)は悲嘆に暮れつつも、決断を下す。しかしアイの行った実験結果はそれをも渦中に飲み込み・・・
こういった動乱は序盤では考えられなかったシーンです。もちろんその中でもどこかとぼけたギャグが織り交ざるのがドロヘドロ。
カスカベ博士(ヘイズ)の「常に冷静」というモットーを崩した狂気や、ホールに一斉移動した煙ファミリーも見どころ。
しかし一番の要点は全知全能たる悪魔達すら野次馬に来るほどの存在、十字目のボス『壊』(カイマン)でしょう。
チダルマの言う、何百年ぶりかのトキメキというのは果たして?
正直、数巻前から、そろそろ膨大な謎と伏線が回収されつつあり、カイマンの正体も謎が解け、物語も収束に向かってきた。もうボチボチエンディングかなと思っていたが、本巻を読んで、まだまだ数巻では終わりそうにない、物語の核心はこれからだ!と思った。例えば、オマケに出てくる、丹波の店のボーイッシュな美少女キリオン。彼女は、名前はホールの人間の付け方で、ホールの雨にも平気。彼女はかなり大きな鍵になるはずだが、いまだ本筋には絡まない。さらに、ニカイドウの時間を扱う魔法は、後3回使用できるはず。これの使い方1回1回が、新たな物語を生むはず。さらに、死んだと思われた藤田が、煙さんの蘇生に関わる収穫を得たこと、そして、いきなり出てきた新事実、小型の煙のビンを、脳の小型悪魔腫瘍につける手術で、死者の蘇生がより効果的になること。人工的に作られた悪魔の誕生を祝う、チダルマ他の悪魔達、かつてチダルマが超古代に作ったという悪魔金貨と、「地獄」、「魔法世界」、「ホール」との因果関係は?・・・等々、ますます、謎が深まるばかり、この状況で、あと数巻程度で収束できる物語なのか?その答えは混沌の中にある。それが「ドロヘドロ」。
未解決の謎と伏線について、まだまだ気付いたので追記: ・ターキーって、魔法使いなのに、ホール世界の名前のつけ方では?まあニックネームかもしれないが・・・。しかし彼がマスクを一度も取らないのが何か有りそう。本巻で気付いたのだが、彼は実は彼女、女性では?料理の魔法と、やけに華奢(恵比寿くらい。手足も首筋も細いし)。例えば煙ファミリーが一同に並んだときにふと思いついた。 ・最近妙に存在感を増して、実は凄く頼りになる消。彼の魔法のうち、「記憶を消す」という能力が、何か伏線では?ネタバレにならないようにするが、本巻最後で、魔法が解けたら何か、誰かの記憶が蘇るのでは? ・よく考えたら、リビングデッドの夜が、1年ぶり(2巻以来)にやってくるわけだ。リビングデッドの発生と、十字目のボスの生贄とは、何か関連性があるのか? ・1巻冒頭、藤田の最初のパートナーの松村、彼の葬式のとき、復活と再生を願う何か不思議な儀式みたいなのがあったが、あれは何か意味があったのか?魔法世界では、死者は善悪無関係に地獄に落ち悪魔に責められるわけだが、キクラゲの魔法などで蘇生も可能。しかし、あの儀式は、どういう意味があったのか?例えば蘇生魔法での復活以外に、輪廻転生みたいな魂の回帰は、この世界に存在するのか? ・いまさらながら、病院の先生が、カイマンの解剖や診察から気付いた、彼の頭部が再生したりする理由。「トカゲ頭のカイマン」には長らく会っていないし、異形の変異を遂げた今、それどころでなく、忘れ去られた感があるが、本巻でしっかりまた蒸し返している。 ・「ホール世界」には、一つの町しかないのか?1巻で「○右ホール」なるものが出てきたが、それ以外にも、もっと町や地域は広がっているのか?「魔法世界」、「地獄」、「ホール世界」がどうやって成立して、どういう関係にあるのか?案外、未来の地球とかだったりするのか?絶対このあたりの成り立ちも、謎解きがあるはずだ。
・・・挙げていくと、本当にクライマックスは近づいているのか?この段階でまだこれだけ(もっとあるだろう)の謎と伏線を残しつつばらまく。中央デパートで本当に全てが終わるのか?まだまだワクワクさせてくれるのではと期待している。
本筋から度々脱線しては、その熱い描写が笑いを誘う。
この巻でも悪魔の餃子、透明時の食事方法など全く無関係な方向にも力が入っており、
本筋を食ってしまうほど印象に残る。巻末の描き下ろし:魔のおまけも相変わらず面白い。
それで本筋の方はというと、登場人物各々の目標は明確になり読みやすいが、パワーダウン感は否めない。
やはり本筋、脱線ストーリー両方で鍵であった煙の死以降その傾向は顕著であり、
彼の扱いがどうなるのかで今後作品自体の出来が変わってくると思う。
今となっては読者も含めカイマンのことを気にしているのは二階堂だけでは?とすら思う。
それほど脇キャラのキャラが濃すぎて誰が主役なのか混沌状態にある。
一方で作品として瓦解していないバランス感もまた秀逸。
ともかく、前巻は面白くなかったが、この巻で軌道修正した。
やはり煙に関わるストーリーだと面白いと感じた。
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