はやぶさ/MUSES-Cが世界初の小惑星サンプルリターンに成功、砒素を取り込む細菌の発見をNASAがプレスリリース、とこんなにこの本の出版に適合した状況はないだろう。著者は南極に行ってしまったのでインタビュー記事はなかったようだが。
ずばり、「科学啓蒙書」に飽き足らない読者に、先端を議論する★★★★★の本。
普通に太陽系内で考える場合にはパンスペルミア説というのは彗星または火星で最初に生じた生命が地球の生命の元となった、という考えである。本書第六章にはもっと広げた話も展開されるが。
第一章、第三章は名調子で書かれており、生物学に興味のある方は楽しめるだろう。全体によーく調べてあって、新しい、面白い話が多い。M42の赤外線の円偏向が光学異性を決めるかも、という説は日本発だし感激だ。
この分野の話を始めて読む方には眉唾の事があるかもしれないし、p.162の一撃励起のところは若干ぶっ飛んでいるだろうが、逆にp.190からの大気圏突入に伴う加熱と衝撃の要因はそんなに恐れる必要もないと思う。「原始のスープに雷で生命誕生!」っていうのがちっとも進まないのはやはりはずれているからだろう。
(文句)図1-4と1-7は同じスケールで描いてないので核酸に不案内な方は注意が必要。p.215-216では「万」の字が踊ってしまっていて、2万・4万が2と4、0.5万年が0.5光年のはずだがこれは図6-13で誤りだと分かる。
作者、幸村誠氏は宇宙物理学とかロケット工学とか広範の知識の持ち主だと思われるが、それを基盤としてSF的な近未来社会を構築しようとはしていない。少なくとも、この作品にはレプリカントもモビルスーツも登場しない。(そっちはそっちで楽しめるけど) 現代をそのまま一寸だけ科学技術が進んだ時代にお引っ越しさせたような独自の世界が良い。一話完結の連作と言う形式も正解だと思う。この一巻目の前半でハチマキ、ユーリ、フィーと言った登場人物の性格や間柄もあっと言う間につかめるし、昔なじみのように共感が持てる。 プラネテスの世界では「仕事」は「仕事」だし、「死」は「死」だし、「少年」は「少年」なのだ。それは現代と少しも変わらずにそこにある。それがこの作品に奥行きや深い味わいを持たせている。
こどもに、せがまれて買った。小学2年生でなぜか太陽系の星でごっこ遊びをするのが今ブームなので、当該書の
宇宙の天体を第一人称で記述するところに、すっかりひきこまれた様子。たとえば、木星は「おれは、もしかしたら光り輝く恒星になっていたかもしれない。」と語り、小惑星は「おれたちゃ暴走族だ」と語る。息子のお気に入りはベテルギウス。巨大な赤ちゃんの絵に大笑い。宇宙への入門書というよりも、ある程度の予備知識があったほうが、面白いだろう。ポスターとしおりつき。ポスターはいまいちであった。読後に、この本をクイズにして遊んだ。息子にも、同じようなものを作ってみたら、と勧めたら非常に乗り気だった。図鑑好きなこどもにはおすすめだろう。おとなにも面白かった。
北海道の辺境にある小さな町工場でもロケットを飛ばすことが出来るのは 世の中の「常識」にとらわれずに、自分の価値観と信念を原動力に愚直に努力してきた結果なんでしょう。
ロケットを自前で飛ばすには、当然多額の資金が必要。 それも自己資金で賄うために、建機のビジネスでも成功している。
高いところを見て諦めずに着実に進めば 大成できる可能性があるのだと思わせてくれる本です。
文章も読みやすく、心に「ス〜ッ」と入ってくる。 とても自然に、前向きに明るい気持ちになって生きます。
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