名作ホラーとして名高い「ブレインデッド」とはまったく別のB級ホラー。
突然に降ってきた隕石によって釣り人がゾンビ化し、
通りすがりの人たちに襲いかかっていく。
冒頭で複数のグループに次々とカメラが切り替わりながら
少しずつ一ヶ所に集まってくる展開は悪くない。
特撮部分はイマイチなところもあるが、全体的になかなか楽しめるデキで
限られた登場人物と舞台を非常にうまく使って展開していく。
中だるみせず、緊迫感を保って観れるB級ホラー作品。
実は私がこの映画について知ったのは、海外のホラー映画ファンからの問い合わせによってだった。99年当時、アメリカではいくつかのシーンが削除されたVHSしか発売されておらず、日本には完全版LDがあるそうだが見つけられないか、という依頼だった(日本ではノーカット版のホラー映画が標準的だが、アメリカではよく残虐シーンがカットされるらしい。「バッド・テイスト」も米版VHSはカットされている)。 そうして東京中を探しまくってなんとか在庫を見つけたのだが、そうして初めて知ったこの映画と、監督であるピーター・ジャクソンにぞっこんになってしまったのだった。 何しろハンパじゃない。やるときは徹底してやる。徹底しているが故に、恐ろしく気持ちが悪いと同時に強烈な笑いの衝動を引き起こす。目的は怖がらせることには微塵もなくて、ただただ「おもしろい映画」にすることだけなんじゃないだろうか。 本当におもしろいので是非一度見てみることをお勧めします。 でもやっぱり気持ち悪い部分は本当に気持ち悪いので、ちょっとだけ覚悟を。
2011年6月22日リリース。荒木飛呂彦がこよなく愛すホラー作品を100作リストアップ(正確には『ぼくのエリ 200歳の少女』と『ミッドナイト・ミート・トレイン』の2作が追加されて102作)し、氏独自のカテゴライズによって熱く語られる。巻末にはこれらの作品の詳細な時系列リストも添付されている。
まず『荒木飛呂彦の選ぶホラー映画 Best20』が最初にどーんと表示される。このあたりも荒木飛呂彦らしいなぁ、と思う。全部書くとネタバレになってしまうので書かないが、やっぱりクリエーターらしい視点で選ばれていて、作品の『創り込み』に重きが置かれているのになるほどと感心した。特に共感したのは『ナインスゲート』を第5位に持ってきたところ。200ページあたりには岸辺露伴と『ナインスゲート』の意外な関係についても触れられていて、ジョジョ好きには読み逃しできない内容である。
『創り込み』についてのクリエーターらしい分析は、例えば第7位にあげている『リング』についてもTV版としていて、映画版、TV版、リメイク版各々を詳細に分析していて実に面白い。リメイクについても様々な視点から比較分析しているところも興味深かった。
あとがきに登場する言葉、『芸術作品は『美しさ』や『正しさ』だけを表現するのではなく、人間の『酷さ』だとか『ゲスさ』とか、そういった暗黒面も描き切れていないと、すぐれた作品とは絶対言えません。』という言葉に、荒木飛呂彦氏の作品が重なり、やはりすばらしい作品を生み出す人というのは、たくさんの作品を多面的かつクールに分析し、再構築して自分のものとしているのだなと思った。少なくとも観ていない作品は是非観たい、と思ってしまう映画論である。
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