色々なオムニバスを聴いてみて、これが一番良いように思ったので購入しました。
とにかくCDのケースがとても使いやすいのが嬉しいです(ケースが気に入って他のベストも購入)。
曲ごとの音量の落差も少ないですし、音質はどれもきれいです。知っているピアニストの名前が多いのも嬉しいです。
初めは「抜粋」という言葉が気になっていましたが、協奏曲などで他の楽器がメインの部分をカットしてあるようで、ピアノの音だけ聴いていたいときが多いので嬉しい配慮でした。
1曲1曲丁寧な解説の分厚い解説書も興味深いです。
私は今までショパンとモーツァルトにしか興味がなかったのですが、このCDを買ってから、色々な作曲家や演奏家が気になり始め、楽譜を買ったり、映画を見たりして楽しんでいます。
音楽の趣味が広がったと思います。
20世紀を代表する伝説的なピアニスト・ミケランジェリ
その代名詞ともいえるのがドビュッシー《前奏曲集》《映像》
多くのピアニストによって演奏される曲目ですが
純粋な音の美しさという観点からは、他の追随を許しません。
レコーディング時には、ピアノの位置すら細かく指示した
―という逸話が残るほど、極度の完ぺき主義者だったミケランジェリらしく
聞く側にもそれなりの緊張感が要されるアルバムですが
一音一音まで磨きぬかれた美しさはまさに至高。
心身ともにベストなコンディションで
じっくりと味わいつくしたいアルバムです☆☆
この映像で見るミケランジェリの演奏は、まさに人間国宝級。
正座して見るべし。
I'm not a great fan of Michelangeli (I often find his style of pianism too cold and clinical particularly in solo piano repertoire), but I must admit, this EMI stereo recording of Ravel's G major Concerto is truly in the class of its own and has never been surpassed yet as far as I've known.
In the outer movements, the pianist pushes the technical boundary to the limit and the dazzling tone he produces penetrates even the thickest of orchestral texture. It is astounding, he manages to articulate every note on the score even in the boldest sweep of the most difficult passages. In comparison, the modern performances by Zimerman, Yundi Li, Thibaudet, Roge, Lortie and etc sound too tame and spineless. And the uncompromising tonal refinement and the noble beauty, in the slow movement, transcend all the existing recorded performances. Time seems to stand still in the sheer sublimity of his playing.
The performance of Rachmaninov's 4th concerto is no less impressive. Again the outer movements are played with amazing clarity and totally gripping. In the slow movement, he captures the full-blooded Romanticism and poetry of the music like no other pianists. I've come to love this concerto as much as 2nd and 3rd, thanks to this revelatory account by Michelangeli.
■ ★五つの誤りです。
●著者のコード・ガーベンは独グラモフォン社の元音楽プロデューサー。ミケランジェリのみならず、カラヤン、カルロス・クライバー、カルロ・マリア・ジュリーニらの録音を担当(カラヤン&ベルリン・フィル最後の正規ディスク「ブルックナーの第7番」も担当している。また中々ピアノがうまいので、ブリギット・ファスベンダーらの伴奏をしている。心臓の手術後、ミケランジェリのモーツァルトの協奏曲の指揮者までしている(させられている)。
●謎に満ちた天才音楽家ミケランジェリの、天才あるがゆえの気難しさ、気まぐれさ、突然生じるトライフルなものへの教育的情熱・・・などが淡々と描かれてる。
例をあげると・・・
ジュリーニと共演したベートーヴェンの協奏曲を当初指揮する予定だった指揮者およびオーケストラは?
衝撃的なカデンツァでも有名なジュリーニ&ヴィーン交響楽団とのベートーヴェン・ピアノ協奏曲第1番ハ長調のブローベを弾かされる羽目になった陽とは誰でしょう?
ミケランジェリと同じ1月5日生まれの現代最高のピアニストと言われている二人はだれでしょう?
一般的には絶賛の嵐に包まれた「ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第4番変ホ長調に対する著者の(辛らつな?)評価はどのようなものでしょう?
著者が絶対的に賞讃しているのはどのディスクでしょう?
彼らの最後の仕事となったチェリビダッケ&ミュンヘン・フィルとの「シューマン:協奏曲イ短調」がご破算になったのは何故でしょうか?
●かつてDGの敏腕プロデューサーだったせいでしょうか、コード・ガーベンの筆致は冷静で「事実=データ」に基づいています。様々な音楽評論家の詳細な引用(演奏当時の専門家たちの多角的な受け止め方を紹介するために)(それにしても日本の評論家とは雲泥の差)、楽譜に基づいた演奏の批判的検討。謎に満ちた人柄も含めて天才的ピアニスト、ミケランジェリの実相に迫る巧著と言って良いでしょう。
●他のレヴュアーがおっしゃっているように、心臓手術後の「モーツァルト:協奏曲ニ短調K.466 第一楽章」の練習風景と(オーケストラの代わりにコード・ガーベンがピアノでオーケストラ・パートを弾いている。天才は低くよく響く声でフレージングや和音のあり方を指示します。そしてCDとなった演奏が続くのですが、コード・ガーベンはこのように述べます。
「自然という言葉の通常の理解は、ミケランジェリにはなかった。一見、自然で、当たり前のように起こる全てのことは、長い≪炎と水の試練≫を潜り抜け、長い思考の末に、完成された製品として表面に現れるものであった。そうすると、外側にいる者にとってはそれは自然と映るが、決して≪何か創出されたもの≫から完全に解き放たれることないのだ」
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