このカーペンターズのトリビュート・アルバムには、14組の歌手による14曲が納められている。私は、これまでに、小林明子、有里知花、平賀マリカのアルバムでカーペンターズのカヴァー曲を聴いてきたのだが、この中で、最も楽しめたのが、意外にもというべきか、トリビュート・アルバムである以上、当然というべきか、種々雑多な歌手が歌うこのアルバムであった。
このアルバムには、参加した全14組の歌手が感想を寄せているのだが、この中で、太田裕美、森口博子、岩崎良美が、それぞれの言葉で、イージー・リスニングなカーペンターズを実際に歌うことの難しさを語っている。これは、これまでカーペンターズのカヴァー曲アルバムを聴いてきて、満足するものに出会ったことのない私の感想とも一致するものだった。
このアルバムを聴いていると、BGM感覚の小林明子と有里知花や、ジャズ・テイストでアレンジした平賀マリカと比べると、このアルバムに参加している全ての歌手が、カーペンターズ・サウンドをリスペクトして、余計な小細工を排して、真摯な姿勢で、彼女らなりのオーソドックスなカーペンターズ・サウンドの再現に取り組んでいるのが、よくわかる。独特の味があり、意外に難しいカーペンターズ・サウンドは、聴く方としても、1人の歌手で延々と聴き続けさせられるよりも、このような形式で聴かされた方が、目先が変わって、飽きを感じることもなく楽しめるので、ありがたかった。
全曲を通して聴いてみて、最も印象に残ったのは、歌手では、歌唱力だけでなく、声も良く出ている森口博子と桑江知子であり、曲では、理屈抜きで原曲の世界を楽しめるSeptemberの「プリーズ・ミスター・ポストマン」と庄野真代の「シング」だった。
ちなみに、このアルバムは、珍しくも、全曲を日本語でカヴァーしているのだが、日本語が原曲のメロディに自然に乗っているので、違和感は全く感じない。
「私のハートはストップモーション」は最初に聞いたときに かなりの衝撃でした。その他の曲も当時にしてはかなり斬新で 今聞いても全然違和感の感じられないものばかりです。 気分が落ち込んだときには最高・・かも。
トップバッターが松田聖子の「風立ちぬ」で、トリが太田裕美の「さらばシベリア鉄道」。なるほど、松本隆&大瀧詠一のはっぴいえんどコンビによる“旅うた”2曲で、いろんな名曲をサンドイッチしたという訳ですか。“今日から私はこころの旅人”だから、70年代〜80年代の名曲をめぐる旅が楽しめる…夏から秋へ、そして十二月まで(!?)、なーんてね。 というだけでも隠しワザとヒネリを感じさせますが、女性ヴォーカル限定の選曲が二重マル。20曲の内容を見ても、阿久悠、筒美京平、都倉俊一といった古き良き歌謡曲を代表するプロの作家による楽曲と、ニューミュージック系のアーティストによる楽曲とのバランスが絶妙です。通して聴くと、やっぱりユーミン(ハイ・ファイ・セット「冷たい雨」)、中島みゆき(薬師丸ひろ子「時代」)、桑田佳祐(研ナオコ「夏をあきらめて」)というビッグ3の個性が抜きん出ているように思います。 さらに南沙織や山口百恵、岩崎宏美など歌のうまい実力派アイドルが華を添えていて、70〜80年代という時代の贅沢さを改めて実感。こんなに素敵な“こころの旅”を、リアル世代のアラフォーだけに独占させるなんて、もったいなーい!
春です。桜が満開です。そこで春につきものの桜をテーマにした曲ばかりを17曲集めたとてもステキなコンピレーション・アルバムを見つけました。
選曲が泣かせます。キャンディーズ「春一番」、南沙織「春の予感」、矢野顕子「春咲小紅」 、EPO「う,ふ,ふ,ふ」、桑江知子「私のハートはストップモーション」、松田聖子「赤いスイートピー」、田山雅充「春うらら」、中島みゆき「春なのに」、よしだたくろう「春だったね」、井上陽水「東へ西へ」、ふきのとう「春雷」、村下孝蔵「初恋」、山口百恵「愛染橋」、岩崎宏美「春おぼろ」、太田裕美「たんぽぽ」、N.S.P.「八十八夜」、サーカス「夢で逢えたら」です。このラインナップは完璧ですね。1970年代のヒット曲の中から選んでおり、テーマにもピッタリの曲ばかりですから。
これらの歌を聴きながら青春を送った私にとって、それぞれの曲には懐かしくて大切にしている思い出が一杯詰まっており、走馬灯のように流れていく満開の桜のシチュエーションとこれらの曲がリンクするとそのまま過去へタイム・スリップしていきそうです。
どの曲にも共通しているのは、明確なメッセージを持った歌詞と印象に残るメロディとハーモニー、そして涙がでるようなステキなミュージャンによる歌唱。なんて幸せな時代に音楽を聞き続けてきたのか、と思いたくなるような曲ばかりです。
フォークもニューミュージックも歌謡曲もポップスにも入るような曲集ですが、春の桜を横軸にとり、1970年代を縦軸にとったマトリックスの企画の勝利だと言えるでしょう。
春は別れと出会いの季節です。限られた世代にしかこの良さは伝わらないかも知れませんが、世代を超えた感情を共有できる曲ばかりですので多くの人にお勧めします。
ヤマトのために作られた主題歌・挿入歌を集めたベスト盤である。
主題歌「宇宙戦艦ヤマト」と「真赤なスカーフ」はいずれも名曲で
あるのは言うまでもないが、本CDに収録されている同曲は
「宇宙戦艦ヤマト ソング・コレクション」に収録されているものとは
違うバージョンである。両方持っている方は聴き比べてみよう。
なんといっても、ヤマトより愛をこめて(沢田研二)、愛の生命(岩崎宏美)
愛よその日まで(布施明)など、オリジナル歌手で収録されているのは
嬉しいことだろう。これだけでも「買い」である。
当時、布施明氏は「愛よその日まで」でNHK紅白に出場したそうだ。
最近でもNHKによく出演しているのを見かけるが、是非またステージで
「愛よその日まで」を歌って欲しい。NHKにお願いである。
もはやアニメの曲という枠では収まらない、名曲揃いである。
故・宮川泰氏は素晴らしい遺産を残してくれたと思う。感謝である。
本CDはリマスターされており、音質にもかなり拘った作りになっている。
ピュアオーディオ派の方は、旧盤と聞き比べてもらいたい。
ベスト盤という位置付けで、全ての曲を網羅しているわけではないが、
それでもおすすめできる1枚であろう。
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