日本盤で放置されていた6曲目での音飛びはもうない。 よかった。本当にほっとした。 再発売にあわせて新しく書かれた解説もいい。 どうぞ安心してお買い求めください。
素晴らしい曲ばかりで こんなに完成されたアルバムなのに、 今から思えばほんの挨拶だったのだ。 作品の一部ですがこんな音楽ができます、ってなもんだ。
先駆者、改革者と言われる演奏技術を 軽く包みこんでしまう作曲家としてのセンス。 メロディは泉のように湧くのだろうか。 ギターの音色のなんと美しいことか。 さらに彼は歌もうまいのだが 声が若く最近の歌と味わいが違ってまたいい。
こんな豊かな音なのにクレジットはシンプルだ。 Sonny Landreth / vocals、guitars David Ranson / bass Kenneth Blevins / drums、percussion Steve Conn / organ、piano、accodion
バックヴォーカルで Sue Medley、John Hiatt(9.でrhythm guitarも)、Marce Lacoutureが参加。
解説は細川真平。
私の今年最高の出来事は
Sonny Landrethの“発見”だ。
それも人生にかかわる大きさだ。
実は輸入盤で聴いて向こうのレビューを書いたんだが
結局邦盤も買ってしまったのだ。
日本語のちゃんとした解説(1800字・天辰保文氏)を読みたかったのと
邦盤の売り上げを伸ばして
来日へ持って行けないかと。
US盤と仕様は同じで値段もたいして変わらないから
こっちを買いませんか?
ビルボードでブルースチャート1位になったそうだ。
グラミーも取れるんじゃないかな。
そしたらDVDも出るかも!
本当にCDで聴くように、いやそれ以上にライブでやるんだもの。
彼の演奏を見たら
持っていない人はスライドバーを買いに走り
持っている人のはゴミ箱行きだ。
私は拾いに戻ったがね。
そうそう、『Uberesso』のタイトルは、
彼が好きなエスプレッソから来ているそうだ。
ツアーバスにはエスプレッソマシーンを載せているという。
彼の演奏が思い切り聴ける。 どれもこれも溜息が出る。
彼は物語を歌う名手だが歌詞がなくてもいいんだな。 スライドギターがこんなに複雑で美しい情景を描けることを 見事に証明した。 ギターはまるで解き放たれたように歌っているよ。
いつもながらゲストの起用と成果が見事だ。 Joe Satoriani、Eric Johnson、Robert Greenidge、 過去に地元の演奏会で共演もしているアケイディアナ交響楽団から バイオリン、ビオラ、チェロが参加。 指揮者のMariusz Smolij氏もアドバイザーとしてクレジットされている。 ストリングスのアレンジはSam Broussard。 この人も、できるギタリストってだけじゃないんだ。
探求心の旺盛な人だ。 ブルーズさえ置いて新しい冒険に出ていく。 ストリングス、スチール・ドラム、ナイロン弦の音。 けれど地元のファンをライブで踊らせる曲も忘れない。 きっともう次の構想があるんだろうな。 そして必ず作り上げる。 彼の道のりを振り返るといつもそうだ。すごいことだ。
Megan Barraのデザインはいつも素敵だ。 わずかなスペースでこのレコードをよく表していると思う。 しかし本家はあのちょっと大きい三つ折り紙ジャケット、 日本盤はプラケースの標準サイズ。 これはどうかなあ、雰囲気変わるわ。 風景の写真は一枚多いけど。
でも細川真平による解説は、 インタビューをして本人の言葉をはさんでいるのがとてもいい。
余談だが私は他のギタリストのスライドギターはほとんど苦手だ。 “スライド酔い”してしまって聞いていられない。 しかし彼の場合、大きなビブラートやグリッサンドを使っても 芯の音を外さないのでそれがまったくない。
同じような症状でスライドギターを敬遠して、 彼を知らないでいる人がいたら是非聴いていただきたい。 ギターの新しい魅力に出会える。保証します。
I-10はフロリダからロサンゼルスまで東西に続くハイウェイだ。
ルイジアナではニューオーリンズ、バトンルージュ、ラファイエットの北を横切っていく。
ろくにクレジットも見ずに聞き始めて
Mark knopflerの声がしたのでびっくりした。
いつから、どういう経緯で付き合いが始まったんだろう。
“Congo Square”はいろいろなバージョンがあるが
ここではKnopfler参加バージョンが聞ける。
Native Stepsonがある。この音色、旋律、リズム。
一瞬で自分が変わってしまったのがわかった。以来彼のとりこだ。
多くのファンにとってもアンセムとなっていることだろう。
2005年のライブアルバムGrant Streetではトップを飾る。
それにしても、何なのだろう彼のギターは!!
スライド使いのブルースマンだと聞いて
連想したあなたの音は、たぶんまるで見当違いだろう。
まず音数が10倍はある。100倍かな。
“ロックギタリストの弾きまくり”のノリで行くのだ、スライドプレイヤーが!!
さらにホーンのようにフィドルのように
様々な素晴らしいトーンを出す。
体の芯まで震わす強い音の後に
きらきらとこぼれ落ちるようなハーモニクスや
シンプルに暖かく歌うバラードがある。
リズムとビートはまるでパーカッションのようだ。
はかなく繊細に、また大胆に豪快になんと自由にギターを歌わせる人だろう。
しかも彼のヴォーカルがまたギターと同じくらい素晴らしい。
(いやインストゥルメンタルでもすごいんだけど。)
心地よいメロディやソロのアプローチで
超一流のソングライターだということもわかる。
彼に音楽を教えたのは何なのだろう。
技術ではなくて、懐の深さや情緒の豊かさだ。
それを表現するかたちをどこで学んだのだろう。
魂のこもった音楽とはこういうものなのかと思う。
あ、South of I-10で歌っているのがそういうことか。
I-10の南に行ってみたら何かわかるのかなあ。
南ルイジアナに何か秘密があるのかなあ。
ユーゴスラビア出身のブルーズ・ギタリスト、アナ・ポポヴィッチ、6枚目のスタジオ・アルバム。
セルビアで1998年CDデビュー後、オランダ、ドイツを経て現在アメリカを主な拠点として活動する。
前作では出産の経験も影響したのか、スイートな一面を前面にやや毛色の違うサウンド・メイク作品
だったのだけれど、今作はともすれば敬遠される悩ましいアルバム・アートワーク、これは彼女の意向だった
そうで、最も古いジャンルであるブルーズへの敬意とそのイメージへのレボリューション的思いを込めて・・・
どちらにしても音楽中身への自信の表れと読み取れる。
ニューオリンズに出向いての録音でジャージなブルーズを軸として、素晴らしいギター、
ソウルフルなヴォーカルに成熟した艶が加わって、現在の彼女ならではのグルーブが味わえる。
T−5, ではルイジアナの雄サニー・ランドレスのスライド・バトルをインスト曲として聴かせる、
T−2, ではジェイソン・リッチのブルーズハーブとの掛け合いディープながら疾走感のあるブルーズ
も聴き所。
個人的にはT−9,ミッドなコンテンポラリー・サウンドにディブ・メイソンばりのサステインが
効いたギターがなんとも印象的な「サマー・レイン」が気に入っている。
全12曲 約51分 T−7, ナット・アダレイ、T−10, ココ・テイラー、T−11, マーシー・ディー・ワルトン、
T−12, シュガー・パイ・デサンドのヒット曲(マカリスター&ヴァイル)の4曲がカバー曲、
他8曲はポポヴィッチのオリジナル。コンポーザーとしても一流。
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