24 HOUR TELEVISION スペシャルドラマ2011「生きてるだけで なんくるないさ」 [DVD]
今夏放送分をたまたま見て、結局最後まで見てしまった。震災の影響もあり今年の同シリーズのドラマは、困難を乗り越え未来への希望をテーマに据えている為、見終わってホッとするし何度見ても苦しくない。何気なく見て感心したのが田中麗奈って本当にキレイになったな〜という事。思わず彼女の過去の作品もほとんど見返してしまいました。映画中心で、TVなどへの露出が少ないが、今後、真の映画女優として期待しています。普段は黒人ブルースやロックなどを聴き漁っている毎日ですが、初めてドラマのDVDを買ってしまいました。本編はO.Aではカットしていたシーンも挿入されており、また放送があったシーンでも台詞が長くなっていたりしています。特典映像は翌日放送されたドキュメントと主役2人のインタビュー。
夕凪の街 桜の国 [DVD]
昨年夏に映画館で観ましたが、やっとDVDが出ますね。本作は、原爆の悲劇を直接的にではなく、原爆症で昭和33年に死んでいく皆実を描く夕凪の街と、彼女の姪にあたる七波がひょんなことから家族の歴史を尋ねる旅に出かけて自分の存在を見つめ直す平成19年が舞台の桜の国の2部で描く、昨年映画館で観た邦画の5本の指に入る傑作。
前半の夕凪の街では、皆実が「うちは、この世におってもええんじゃろうか」というセリフに代表されるように、原爆で死んだ人に対する負い目にさいなまれ、「生きとってくれてありがとう」と彼女を受けとめてくれる男性の愛に十分応えられないまま原爆症が発症して死んでいく。そのはかなさ・薄幸の人生を体現する麻生久美子の演技が素晴らしい。「幸せになってはいけんような気がする」というセリフの何と悲しいことか。原爆を生き延びた人が背負ってしまった苦悩を描く点では、これまた傑作「父と暮らせば」に共通するものがある。
後半の桜の国では、原爆の影を負った家族の歴史に向き合い、最後に「確かにこの2人を選んで、生まれてこようと決めたのだ」と両親・家族への思いを新たにする七波を田中麗奈が好演。特にこの最後の名セリフ(心の中の独白)は胸をうちます。個人的には、日本の若手女優の映画での名セリフとしては「恋する女たち」での斉藤由貴の野点シーン以来の感動的な名セリフで、これだけでも映画史に残るのではないでしょうか。
重いテーマですけれども、数々の名セリフが散りばめられて、原爆の惨劇を生き残った人やその家族の思いを的確に伝えてくれます。日本人はすべからくその思いを受けとめるべきでしょう。冒頭の写真のエピソードが後につながる場面等、細かい構成も見事。是非1人でも多くの人に観てもらいたい映画です。