北北西に進路を取れ 特別版 [DVD]
昔からヒッチコックをこよなく愛して全作品を何度も何度も繰り返し鑑賞しているが、その中でもベスト3に入る傑作じゃないですかね。
カッコいいようなカッコ悪いような主人公をケイリーグラントが演じているのがいいですね。お相手のエバ・マリー・セイントが謎めいたお色気で登場するタイミングも最高。
映画が始まった途端に、リズミカル、コミカルそしてミステリアスに観る者をぐいぐいとストーリーに引き込んでいきます。脇役はこの頃の作品のベテラン常連で固められていて超豪華なせいか、設定的に無理のある部分(主人公とその母親が親子に見えない等)や現実離れした部分(諜報組織の面々や国連本部等々)なんかも、気になるどころか却って魅力の一つに思えてしまう。ラブロマンスありサスペンスあり、コメディあり、ロードムービー的な味わいも兼ね備えている信じられない作品といえる。見る度に違った魅力が発見でき、全然飽きませんね。ここまで速いテンポでストーリーが進んでいながらドタバタに全然なっていないところ、さすが巨匠ヒッチコックです。CGなど無い時代、特撮だとは分かってしまうけれど、CGを安易に乱用した嫌味なまでにリアルで鮮明な最近の映画に辟易している眼には、新鮮で味わいのある極上のシーンの連続ですね。ストーリー、結末が分かってしまっても、何度も観たくなってしまう、というか味わいたくなってしまうのがヒッチコック作品の素晴らしいところ。この作品はこれまでずっとVHSで楽しんでいたけど、やっぱりこれからも観続けることになるのでDVDを購入しました。(この作品と同じように味わえる「裏窓」もおススメです)