情事の終わり
と、いう印象だったが実は結構名は売れている連中のようだ。新しい時代の若者からはハードバップ奏者はイイのは出ないだろうと長い間思って古いLPだけ聴いていたボクはこのアルバムを聴いて愕然とした。Jazzはほとんど死んでしまったアメリカと思っていたがこのCDはそういうボクを青春時代に引きずり戻した。そして嬉しいサウンドを聴かせるこのアルバムは日本の企画のようだがヴィーナスレコードという会社はジャケットデザインを60年代ヌーベルバーグのフランス映画のような雰囲気を出していて、もしかしたら若い世代のアイデアかも・・と思ってしまうほどクサく統一されている。モロにバップでモーダルなクールさまではいかないがもうすぐモードやるぜ、といった発展性が感じられる。しかしこの状態のバップが一番いいんだよな。ボントロ(tb)もペット(tp)もイカすねぇ。ここ10年では一番いいアルバムかも・・。
危険な情事 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
この映画は本当に素晴らしいです。
主人公の典型的男の姿、愛らしい家族、そして狂気の女性の描き方が良いです。
この映画は勘違いされているかも知れませんが、ホラー映画でも浮気抑止のための映画ではないです。
人格障害、多分境界性人格障害の人を描いた作品でしょうね。
自分を見捨てられることを極度に恐れる人格障害(激しい性格)の人を、ここまで上手く描いたことに脱帽です。
六つの心 アラン・レネ [DVD]
※2006年作。初ソフト化。特典映像等はありません。説明は「リーフレット」一枚です。
「アラン・エイク ボーン」原作戯曲の映画化。 脚本担当は「ジャン=ミッシェル・リブ」。日常会話のニュアンスにいたるまで原作に忠実に執筆されたそうです。
交わされる会話、ちょっとした仕草や表情、ほのかに漂うユーモアなど細やかな表現が多く、サビーヌ・アゼマをはじめとする俳優陣の繊細な演技にすっかり見入ってしまいました。(演出のテンポが心地よい。)
美術、衣装、照明など色彩の美しさに目を奪われます!(画質も問題ありません。)
六名の人生がちょっとしたきっかけで絡み合う数日間の物語...。
場面転換ごとにオーバーラップする「舞う雪」が、本のページをめくるようにストーリーを運び、とても分かり易く作られています。
雪の降りしきるパリ、ベルシー地区。婚約中のニコール(ラウラ・モランテ)とダン(ランベール・ウィルソン)の新居探しから物語は始まります。新居探しは難航し、「求職中」のダンの現実に目をそむける態度が、ふたりの間に陰を落とします。全員同様に、行動を起こそうとすると(あるいは他人との関わりを深めようとすると)何かしら阻むものがあり、上手くいきません。
望むように事が運ばず、もどかしいまま過ぎて行く『雪の数日間』...。
何かが変わったり、はっきりとした結論が出るというストーリーではありません。
波乱にとんだ展開があるわけでもなく演出も押さえ気味ですが、じわっと突きつけられ、身につまされるシーンが多くあり、自分が内に隠しもっているものを、そっとひっぱりだされるように感じました。(ため息が出るほど美しい映像で、人の「ありよう」がシヴィアに描かれているのです。)
全編通して六名を見守るようにふり続く雪と、暖かみのある会話は、アラン・レネと戯曲原作者の、『ひと』に対する優しい眼差しだと思います。(シヴィアだけど突き放すのではなく見守る...。)
◆「この物語は永遠に続く幸福探しの冒険譚と言えるでしょう。幸福が身近にあると信じるのは簡単ですが、絵空事であるのを受け入れるのは非常に難しいのです。」リーフレットにあるアラン・レネの言葉です...。
密やかに熟れる花 (アクションコミックス)
正直なところ、ややユルいタッチで描かれた表紙カバーを見た時は少しばかりの不安を覚えたが、中身はいつもの艶々ワールドだった。不仲ながらも夫のある熟女人妻が、悶々とした悩ましい憂いを湛えつつ若い男に溺れていく物語である。今回は相姦でなく不倫ということである。本巻の全9話で完結するのは少し物足りないような、勿体ないような気もするが、話としてはコンパクトに上手く纏まっていると思う。
「溺れていく」と言っても、ただ肉欲の快楽を貪るだけの堕落した女ではなく、楚々とした風情ながらも別居中ゆえに満たされなかった空閨を心と共に満たそうとする愛情がきちんと描かれた内容となっている。片田舎らしいムラ社会的な要素を織り交ぜ、不貞を働いた男女の行く末を描きながらも、これを単に悲劇とせず、むしろ諸々のしがらみから解放され、全てを失ってもなお補って余りある最愛の人との自由を享受する形で結んでいるところは良かった。中盤から出てくる夫のダメ男っぷりが場合によっては多少の嫌悪を生み、これを解決する主人公の策も含めて若干後味の宜しくない部分もあるのだが、それでも最後は「良かったね」と言える纏め方だったと思う。『はだかのくすりゆび』(ニチブンコミックス)と同様に妻の独白を多用して心の移ろいを上手に盛り込んでいた。
さて、艶々作品なので非常にツボを突いてくる寝取られ描写が今回も描かれている。主人公と夫の双方が寝取り、寝取られる嫉妬の応酬が見られ、官能シーンをより艶っぽいものにしている。キッチンや息子のいるすぐ隣(これもキッチン)、そして車内といった抜群のシチュエーションで悩ましくも淫猥な描写が連続しており、許されぬ関係、もしくは既に終わっていながら未練たらしく強要されるのを拒み切れない関係が、シンプルなストーリーを淫らに飾っている。描写そのものはさほど激しいものでもないが、妻のキャラが極めてフツーに設定されていることが却って興奮を誘っている。ファン故の贔屓目かもしれないが、ドラマ性を重視し、織り成す男女の関係性の上に抑え切れない官能を乗せるような、言うなれば敢えて一歩引くことで逆に深みのある内容を際立たせる描き方に魅力を感じた作品である。
二十四時間の情事 [DVD]
原爆投下後のヒロシマを舞台に描く日本人男性とフランス女性の情事。戦争体験によるそれぞれのトラウマを絡めながら物語は進んでいきます。モノクロ画面ゆえに引き立つ広島の景色も見どころ。焼け野原ではないものの、街灯も建物も少ない中にぽつんと浮かぶ、今はない映画館のネオン塔が印象的でした。ある雑誌で、ビョークもお気に入りの映画の一つにあげていました。当時、敢えて訪れる外国人が少なかった時期の作品という点でも、見る価値アリです。