強引な求婚者 (ハーレクイン文庫)
ヒストリカルロマンスならではの昔の暮らしが目に浮かぶ様な描写でさらっと読める感じ。ヒーローの強引さもいい。最後にハッピーがくるのではなくて、ハッピーのその後が楽しめる作品。
天駆ける騎士 (ハーレクイン文庫)
遺産相続人キャロリンに求婚中の、ウィルモント男爵の末弟スティーヴンと、
キャロリンの従妹で、スティーヴンの子ども(双子の娘たち)を秘かに産んで育てている、マリアンのお話。
物語の冒頭で、キャロリンに夜這いをかけにいったスティーヴンが、寝室でいきなりマリアンと鉢合わせしたときには
「え?コイツ、もしかしていいかげんな女たらし?」と不信感を持ちましたが、
読み進めていくうちにスティーヴン、マリアン、キャロリン、それぞれが抱える事情が見えてきます。
「夫に口出しされずに自分の土地を監督したい」「愛する男性とだけは結婚できない」という理由から、スティーヴンとの結婚を望む、キャロリン
「結婚に愛情を介在させたくない」との思いから、敢えてキャロリンとの、愛も束縛もない政略結婚を選んだ、スティーヴン
子どもの父親の名前を誰にも告げなかったせいで家族に絶縁され、伯父の領地に身を寄せ、双子の娘たちとつつましく暮らす、マリアン
そんな3人を病床から静かに見守る、マリアンの伯父(キャロリンの父親)、ウィリアム
もっと自分の結婚相手にふさわしい人間がすぐそばにいるのに、心の奥底ではそれをちゃんとわかっているのに、
自分の気持ちに蓋をして、強引に愛のない結婚話を推し進めようとするキャロリンとスティーヴンの2人には、本当にはらはらさせられました。
スティーヴンが自分の子どもとは知らずに、オードラやリサを可愛がり、彼女たちとの絆をどんどん深めていくので尚更。
ハッピーエンドは疑っていませんでしたが、いったいどうやってこの混乱に収拾をつけるのかと、最後の最後まで気が揉めました。
スティーヴン、マリアン、キャロリンは自分の気持ちを見つめ直し、それぞれが抱える恐れや不安を克服し、自分がしあわせになる道を選び取ります。
それぞれが迷い悩み苦しんだ分、いろいろな意味で納得のいくエンディングになっています。
この物語は、(初読の時点では知りませんでしたが)ウィルモント一族に関わる4部作の最終話にあたります。
この最後の物語では、大きな事件も戦闘も起こらず、悪人も登場しません。
その分、オードラ、リサ、デイモン、エヴァラート、マシュー、フィリップといった、これまでの作品で活躍したヒーローとヒロインの子どもたちが
随所で登場、活躍し、ほのぼのとあたたかく、希望やしあわせに満ちた素敵な物語になっています。
シリーズの前3作は下記の通り。
『王の定めにより』は、スティーヴンの長兄、ウィルモント男爵ジェラードと、アーディスの物語。
『憎しみの果てに』は、スティーヴンの次兄(異母兄)、リチャードの物語。※時期は、今作の冒頭。
『王族の娘』は、アーディスの双子の兄でスティーヴンの親友、コーウィンの物語。※時期は、今作の中盤。
『憎しみの果てに』と『王族の娘』は、この物語の裏側で進行していた物語。
スティーヴンは、『王の定めにより』『憎しみの果てに』でも活躍。今作と読みくらべてみると、彼の成長ぶりがよくわかります。
この最終話だけでもじゅうぶん満足の★5ですが、前3作を読むとよりいっそう楽しめます。ちなみに3作とも、わたしの評価は★5です。
アリスのティーパーティー phase.2 The Knave of Hearts
個人的に一番、和んだアリスでした←
今までは、アリスたちの言い合いけなし合いが多少入っても、本編に絡めたシリアスシーンが多分にありました。
ですが今回は違います。初めから飛ばしてます! 1巻から出ていた、セリフのなかったジャック。とくに彼が。
白ウサギも女王も一緒になって騒ぐこのテンションは、このCDが一番だと思います! 安心して楽しめた。
もちろん、Are you Alice? 本編に繋がる新しい要素も出てくるので、聴けばより世界に浸れます。アリスの抜け落ちた記憶と、住民たちの記憶の相違点、とか。
今回は、不憫で憎めないジャックのお話です! 彼にだって主張したいことがあった! …たくさん。
単なる脇キャラと思うなかれ。ぜひ彼の涙ぐましいストーリーを楽しんで!
アリスのティーパーティー phase.2 The Knave of Hearts [Are you Alice?]
私が「Are you Alice?」にハマるきっかけになった作品。
アリスさん、主人公なのに「アリス定休日」なんて理不尽な日にたいへんな目にあうお話。
アリスとゲストキャラのハートのジャックのやりとりがすごく笑えます。
キャスト(Alice?:櫻井孝宏さん/いかれ帽子屋:平田広明さん/チャシャ猫:井上和彦さん/白ウサギ:森久保祥太郎さん/ハートの女王:大川透さん/ハートのジャック:杉田智和さん)
Crest of a Knave
87年、"Underwraps"でのシンセ寄りのアプローチ後、しばらくのインターバルを置いてリリースされたのがこのCrest of Knaveでした。落ち着きを見せながらも彼らのエネルギーと勢いを感じさせるロック・アルバムに仕上がっています。
ノリのいい"Steel monkey"で幕を開け、計9曲収められていますが、説得力ある"Farm on the freeway"、軽く洒落た"Said she was a dancer"を含め、Tullらしい落ち着きと自信に満ちたplayを楽しめます。
特筆ものは10分におよぶ"Budapest"でしょうか。語り調のメロディーの合間にIanお得意のドラマ展開を組み入れ、淡々とした美しい印象を残すTullらしい名曲です。
個人的には、これ以降のTull作品に若干の強引さを感じているだけに、彼らの持ち味がバランスよく並んだ本作により馴染みを覚えます。