CHRONICLE 2001-2009
失礼ながら日本の肝っ玉母さん的存在と私の中では勝手に位置付けています。時折男前にも感じられるその豊穣な歌声は日本の故郷を思わせます。今日の音楽シーンからすればこうしたシンガーソングライターは極めて希有な存在だと思います。だから私はPORT OF NOTESは別として、畠山美由紀さんにはひたすら日本語で歌って欲しいと願っているのですが(なので『Summer Clouds,Summer Rain』はほとんど聴いていないのです…)、CM曲の「Timeless」などはそんな私でも気に入っています。そんなCM曲やアルバムとは別バージョンの曲など初CD化音源も複数含まれており充実の内容(「くちづけ」には胸を締め付けられました)。彼女のCDを持っている人ももちろんですが、あまり聴いたことがないという人にも「畠山美由紀」を知る上で必要十分と自信を持ってお勧めできますね。
岳 -ガク- DVD通常版
小栗旬演じる山岳救助ボランティア三歩を中心にした感動ドラマではあるのですが、
物語は、長澤まさみ演じる新人山岳救助隊員である久美が、ほんとうのプロの救助隊員になるまでの成長物語となっていました。久美の視点は、観ている観客の視点でもあります。
ヒロインの久美は、まだ山岳救助隊員として一人前とは言いがたい新人ですが、純粋に人を救いたいという気持ちもあり、一所懸命さもあります。演じる長澤まさみが、冬山での厳しいスタントを自らこなし、女優魂を見せつけます。救助者を背負いながらも追い詰められ、苦渋の決断をせまられるシーンでの表情は、真に迫ったものでした。普段が女の子っぽいタイプである分、こうしたシリアスな場面での落差の大きな演技ができるとは、ちょっと成長したなと云う感じ。
底抜けに明るくてタフで、常に前向きな山の男。主人公、島崎三歩にはそういう親しみやすさとともに、山のヒーローとしてのカリスマ性も感じる。雪焼けした小栗旬のさわやかなキャラクターが合っている。無謀な登山者にも優しく、遭難死した人にも笑顔でねぎらいの言葉をかけるその姿には、新鮮な驚きと感動を与えられる。
人の命を救うために、自分の命をも懸けて、現場に入っていくレスキュー隊員や、消防士、自衛隊、もちろん山岳救助隊の方々は本当に凄い。本作を観て、そういう方たちはもっと重いものを背負っているのだと、あらためて考えさせられます。救出できれば素晴らしいことですが、自分の手の中で命が消えていく場面に立ち会わなくてはいけないことも多いことでしょう...。
「生きろ!」というメッセージは、震災後の不安な人々を勇気付ける。ヒューマンドラマとして、純粋に感動できる映画だと思います。